A Will
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2005年03月16日(水) たかが別離。(でも足がすくむ。いつだって)

セイタカアワダチソウ。
そんな名前だと知ったのは中学生になってからだ。


先の妙に黄色いその草を、千切って手渡された。
(どうしろっていうんだ、と途方に暮れる)
ずっと無言だった。
そして、空いてるほうの手をつないで歩いた。



「空が広いって嘘だよね」
「なんで?」
「だって、目に見える範囲なんてたかが知れてるでしょ?」
「・・・・・お前たまに変なこと言うよね」
「私は、目に見える範囲で良い。いっぱいになると大変だから」
「俺は?」
「なぁに?」
「俺のことは?」
「別に欲しくない」
「ふぅん」



千切ってくたびれたセイタカアワダチソウをぶんぶん振る。
でも振ったのはわたしじゃなくて君だった。
わたしの手から乱暴に引っ手繰って、ぶんぶん振ってた。


2人そろって臆病なんだ。
「家に帰ろうか」とどうにも悲しい言葉を、わたしも君も言えなかった。
仕方なく一緒にいたのだ。ほかに誰もいなかったから。


「寂しい」と言う言葉を覚える前だったのかもしれない。
いつから「寂しい」なんて平気な顔して言うようになったのか覚えてないけど。
ただ、君といたときにわたしは寂しくても「寂しい」などと軽々しく言うようなそんな女じゃなかった。





手を振る。


わたしは何回か振り返る。
確認する。


振り返った君と何回か目が合う。


笑う。



また手を振る。
(何故か泣き出したいような気さえする)




++++++++++


「君、ありえへん」
まきちゃんに言われて、笑った。

ありえへん、か。
そぉか。そっか。



この草、セイタカアワダチソウって言うんだよ。と教えてあげた結果。
そんなん普通覚えないって言われちゃった。




調べちゃったんだもん。
覚えちゃったよ。


懐かしい、なんてそんな温かじゃない。




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