A Will
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月が綺麗でした。
手を伸ばせば触れそう、と思って、 手に入ったら食べたい、と思ったのです。
だから手を伸ばしたら、その手を握られました。 冷たい手でした。 私には月と同じくらい綺麗に見えました。
ただ、それだけでした。
私、眠たかった。 私、疲れてた。
もうやめて、と言ったら口を塞がれました。 それが、ものすごく優しくてびっくりしました。 おとなしくしていようと決めたのです。
声が。誰の声だかわからなかった。 私の声でした。
あぁ、こんな声も出せるのだと笑いたかった。
笑いたくて、笑いたくて、でも私泣いていました。
月が綺麗だった。 手が冷たかった。 とても優しかった。
だから、私、泣いていました。
それが、私の初めて知った悦びでした。
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