A Will
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2004年11月17日(水) 禁煙。

彼はカッコいい。
モテるだろうなーと思ってたら、モテた。

女の子がキャーキャー言うのを私は彼の近くで眺めてた。



最近、彼に似た芸能人がテレビによく出てる。
その芸能人がテレビに映ると彼がそこにいるみたいで、
シリアスならシリアスなほど笑えた。

美人な女優さんを抱きしめてたりすると、それは傑作のギャグだった。




送信:「今さぁ、テレビに出てるよー。すごいセリフ言ってる」

受信:「違うから!俺じゃないから。でもムカつくから見るな」

送信:「わーー。ちゅうした!ちゅう!」

受信:「しね」

送信:「ばーか」



彼は平気で私に死ねとか言う。
私も平気で彼にバカとか言う。






そのとき私は彼が電話してきたことに全く気づかなかった。
「野ばら」を歌いながらのん気に煙草を吸ってた。

メンソールの涼しい味。




ようやく気づいた着信とインターホンが鳴ったのはほとんど同時で、
私は煙草を空き缶に入れてずれた眼鏡を直しながらドアを開けた。







「どちらさま・・?」

「こちらさま」

「・・・・・松田君?」

「お前、眼鏡の度あってんの?」



知らない男が立ってた。
それは間違いなかった。それは私の知ってる彼じゃなった。それだけのこと。



























「好きだ」


































一言で、気を失いそうになるなんて、思ってもみなかった。




用心して言われないようにしていた言葉と、
友達を失った喪失感と

口に残った、メンソールの涼しすぎる味。







「ごめん。好きな人いる」

「知ってる」








禁煙しなきゃ、と心の底から思った日の夜。


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