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りょうちんのひとりごと
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2014年11月28日(金)
Vol.823 戦没者慰霊式典

おはようございます。りょうちんです。

俺のルーツを探るシリーズ・その7。
今年も俺は戦没者慰霊式典に参加してきた。なぜこの季節なのかはわからないが、11月半ばになると毎年、市が開催する戦没者慰霊式典が市内のホールで開かれる。
俺の祖父の弟にあたる人が、日本から遥か離れた南の島で戦死している。ハルマヘラ島。インドネシアに属する赤道直下のこの島で、祖父の弟は太平洋戦争の犠牲となり文字通り帰らぬ人となった。敗戦後の混乱の中、遺品として届いた小さな箱の中には、島の白い砂と小石のような小さな骨が収められていたという。激しい爆撃に打たれ命を落としたのか、物資が届かなくなった戦場で餓死してしまったのか、マラリアなどの風土病が蔓延して病に倒れたのか。死因すらもはや明らかにできないが。辿り着いた島はけして楽園などではなく、地獄以上にひどい場所だったに違いない。悲惨な戦場を想像するだけで、胸が痛くなる。
父が祖父から聞いた話では、二十歳そこそこで戦地に赴くことになった祖父の弟は、幼少時代は近所でも有名なガキ大将だったそうだ。腕っぷしが強く親分肌で、年少者への面倒見が良かったらしい。俺が幼かった頃、出兵時に撮ったであろう写真が祖父の遺影の隣に飾ってあったのだが、その姿がとても凛々しかったのを覚えている。彼なら絶対に生きて帰ってくると誰もが思っていたのだが、命はあっけなく奪われてしまった。
戦後70年近くが経つ今、式典に参列している人はほとんどがかなりの高齢者で、おそらくは戦没者の子ども世代なのかもしれない。見回しても、俺らが最年少だろう。長い長い黙祷が終わると、市長などお偉方の平和の誓いが読み上げられ、献花がおこなわれる。祭壇に白い菊の花を手向け、手を合わせた。70年前に南の島で亡くなった出会えなかったおじいちゃんを思い、祈る。参加するといただける饅頭と助六寿司は、そんなおじいちゃんからのプレゼントだ。