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2003年01月25日(土)

昨日の日記とずいぶんテンション違っちゃうんだけど、
今日はちょっとシリアスに。(しかも朝更新)

いつも読ませてもらている日記で、“自殺”について目にしたので、
ちょっと思い出したこと。


看護師時代の話。



あたしは、救急外来の看護師をしていて、ホットラインを受けた。
「33男性、自宅で首を吊っているところを両親が発見され救急要請です。ただいま心肺停止状態。心肺蘇生行いながら搬送します。」


うはぁ。。

大急ぎで準備。
電気ショック、人工呼吸器、点滴、モニター、その他もろもろ・・・。


10分ほどして救急車到着。

救急隊到着して患者さんを見て、あたし達は
“あぁ、もうダメだな”って思った。

救急医師も同じ判断をしたらしく、ほとんど死亡確認だけ。

この時に、必ず体温を測るんです。
体温の下がり具合から、死亡推定時刻を計算するために。
やっぱり、体温は35度切っていた。

付いてきたご両親に説明する。

「心臓が止まっている時間が長すぎたので、もう息子さんの心臓が動き出すことはありません。死亡確認させていただきます。」


泣き崩れるお母さんと対照的に、
「この後はどうしたらいいんでしょうか」とお父さんは淡々としている。


ここからは看護師の仕事。。。

患者さんが“家に帰る”準備をする。

お迎えの手配をしたり、着替えてもらったり。
あと、家族のココロのケア。

ここまでは、この方が特別珍しいわけじゃなくって、時々ある風景。


この方がどうしてあたしに印象強く残っているかというと、
お父さんとお母さんの様子。

お母さんは
「なんで〜〜っ、何で死んじゃうの・・・、悩んでたならなんで言ってくれなかったの・・・起きて・・・起きて・・・」
と言って泣きながら息子さんの頭を抱いたり撫でたりしている。

お父さんは、しばらくそんなお母さんの様子をじっと見ていたけど、
しばらくしてぽつり・・・。
「でもこれで楽になれたんだよな・・・。死ねてよかったと思ってるんだよな・・・。」

きっとお父さんだって、お母さんと同じくらい悲しいに決まってる。
悩んでいたことに気付けなかった自分達を責め、
外出した自分達を責め、
いろんな気持ちを表した言葉だなって、すごく思った。

あたし、思わず
「そうなのかもしれませんね・・・。」言ってしまった。

看護師として、この言葉がどうなのかは分からないけど、
もう還ってこない息子さんに対するお父さんの納得の仕方なんだと感じたから。

お父さんもきっと泣きたかったんだろうなと思った。



で、このお父さんを通して、男の人も気持ちが揺れるんだってほんとに分かった。
いままで、同じような場面にあっても、お父さんとか息子さんとかはいつも淡々として、段取り取ったりとか、奥さんやお母さん慰めたりとか、ある意味感情が見えなかったんだけど、このケースを通して納得した。

男の人って、「悲しい」「つらい」だけど「仕方ない」って思うんだなって。

だから女の人は安心して「悲しむ」ことができる。



すごいね。



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