こんなこと・あんなこと

2003年02月06日(木) 拝啓−敬具

社外文書には主文の前に前文、後に末文を通常は入れます。前文は頭語に始まり時候・安否・感謝の挨拶と続くわけですが、頭語といえば「拝啓、謹啓、拝復、前略」などがあり、それぞれ末文に結語として「敬具、敬白、敬具、草々」を用います。
「拝啓−敬具」「謹啓−敬白」「前略−草々」と覚えるわけですが、これはいわゆる一般常識の範囲の話です。しかし、「常識」とはいえ、生まれたときから備わっている知識ではないわけで、どこかで植え付けられないと「非常識」なままとなってしまいます。

3月の試験に向けてお勉強中のTさん、「私、一応、何年か働いていたけれど、ずっと営業だったので、こういうの、全然わからないの」と言われます。
「わかりたい」と思えば、わかったも同然なのですが、こういったいわゆる「常識」を「わかりたい」と思う人は減っていく一方のような気がします。

通信文のフォームひとつとっても、メールとなるとまた話は別で、新たな「常識」も生まれてくるわけで、昔の「常識」が通じなくなってきます。

「常識」って、社会一般にそうなっているから、そうしておけばまあ文句を言われることもなかろう、というものなのかなあ。
「常識」の草創期には、奥ゆかしい相手を思いやる気持ちがベースにあったに違いないけれど……。実のところ思いやりのかけらはみじんもない文章でも、決まり文句で「貴社まずますご隆盛のこととお慶び申し上げます」なんて使うのだよなあ。だから、前文は誰も読まなくなってしまって、よってメールではもう使わないのが当たり前になったのかなあ。自分の常識、他人の非常識という言葉もよく耳にする昨今。「常識って何?」と、教えていながら悩む私。


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Hiroko Watanabe [MAIL] [HOMEPAGE]

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