LORANの日記
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2004年07月22日(木) 文明の倨傲(きょごう)

(アフガニスタンで)ある団体が日本と協力して、「恵まれない子供のために」村々に学校を建設するプロジェクトがあり、「哀れな」子供たちを繰り返し説明した。
先進諸国の技術文明の優位を信じる彼らは、学校にはないその地域全体の伝統の中で、日々の生活を通して教えられる「教育」に気づいているとは言えない。
問題は、教育施設が乏しいとか、教材がないとか、そんなことではないはずである。石板にチョークでメモをとり、青空を眺める授業風景もなかなか風情のあるものである。子供たちはちっとも「哀れだ」とは思っていない。羊を追い、薪を背負う労働も、家族の絆を強め、共同体の中で必要な協力と生活の技術とを教える。
日々の祈りは、人間の道を教える倫理教育そのものなのだ。
仮にこの山奥の子供たちが日本や欧米並みになったとすればどうだろう。
おそらく山村は荒れ果て、現金収入を求めて都市に失業者が溢れ、共同体の秩序と
伝統が完全に破壊されるだろう。

「識字率や工業化は社会・文化の優劣を測る物差しになりえない。カネと暴力が
 支配する米国社会が優れているのか。武器を生産して無節操に儲けるフランスや
 ロシアが進んだ国であるのか。欧米の技術文明を盲目的に信ずる日本の教育
 システムが、戦後なにをもたらしたのか。
 諸君は先ずホワイトハウスへ行き、大統領を教育して武器輸出と対外干渉を
 断ち、アフガン戦争の死者200万人に対して、ロシアと共に謝罪することから
 始めねばならない。
 道義的に腐敗した国が、この平和な山村で教育を論ずるのは笑止の沙汰である。」


「医は国境を越えて」 中村 哲著  石風社  (p185〜 原文のまま)

 ペシャワ−ル会ホームページ http://www1m.mesh.ne.jp/~peshawar/


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