LORANの日記
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「 どれだけ他人を喜ばすことができたか、 失意にある人間をどれだけ励ますことができたか たった、これだけなんや。 これだけできた人間はみんな百点満点もらえる資格がある。」 昨年9月逝去された青木雄二さんの本(絶筆)を読みました。 「ナニワ金融道」で講談社漫画賞をとり、その後手塚治虫賞も受賞しました。 青木さんはとても正義感が強く、勉強熱心な方で講演やエッセイを発表してマルクスの 伝道・啓蒙に活躍されました。 58歳の人生を存分に生きられたと思います。
青木さんの本の中でとても鋭い指摘がありました。
「資本主義のご主人様はお金自身や。資本家も厳密な意味では主人公ではない。 例えば1000万円の資産を持っていても、厳密な意味で持っているのではない。 1000万円の資産が、ある人間を「自らの管理者」として雇っていると言えます。 その人間が死ねば、その資産は自身の管理者を代える。ただそれだけのことや。 人間はいずれ死にますが、お金は決してこの世からなくなることはないということや。」
「競争原理は少数の富める者と、多数の貧しい者を必ず生み出します。 それが資本主義の恐ろしさや。資本という怪物がやがて人間の手に負えなく なる事態というものをマルクスは敏感に感じていた。 社会の主人公はお金ではなく、やっぱり人間でなくてはならんのです。 お金や物の所有がかりそめのものである以上、人間が完全に勝ち取ることが できる所有物は知恵ということになるでしょう。 最終的に人間を救済できるのは人類の知恵だけや。」
ガンの再発が発見されて亡くなるまでの数ヶ月の間に書かれた作品です。 青木さんの魂の叫びが聞こえてくるようです。 青木さんの警鐘を本気で聞かなければなりません。
参考図書: 「僕が最後に言い残したかったこと」 青木 雄二著 小学館
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