non-fiction.
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halu



2009年02月28日(土)
■優しさの重み。

ものが食べられなくなってから、
当時付き合っていたNさんが、
毎日仕事終わりに家に来てくれるようになった。
私は神奈川に住んでいて、彼は都内在住。
片道1時間強を、仕事が終わって、毎日。
だいたい19時くらいに来て、22時くらいに帰っていった。
ご飯を作ってくれた。
私はそれを、ほんの少しだけ、食べた。
なんでもない話をして、笑ったりもした。
けれど、ちょっとしたことでパニックになって暴れたことも多かった。
私の手首には毎日新しい傷が出来て、
床には血のあとが残っていた。


ベッドの上で寝転がったまま手首を切って、
手首をたらして、
フローリングの床に血溜まりを作るのが好きだった。
何を求めていたのかわからないけれど、
死ねないくせに、死ねるみたいで。
たぶん、安心していたんだと思う。


毎日来てくれるNさんは、優しかった。
けれどその優しさが、次第に重くなっていった。

だから私は嘘をついた。
「明日からお母さんが来てくれるから、もう大丈夫だよ」
本当は来なかったのに。

最後の日、
Nさんとセックスをした。
私の体力は皆無に等しかったから、
良かったのかどうかはわからないけれど。
なんとなく、そうしたかった。


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