恋愛至上主義
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一瞬、時間がとまった。 シュークリームをつめる箱を作っていた手がとまって、視線が外に釘付けになった。
動けなかった。
あれからもう2ヶ月以上経って、もう顔なんて忘れてると思ってた。 思い出そうとしても、思い浮かばなかったし。 だけど、ちゃんと覚えてた。
今日は心斎橋の店の方でバイトしてたんだけど、うちの店、御堂筋に面してて客通りが多くて、たくさんの人が通るわけだから、似てた、ってだけかもしれないって、でも、わかってた。あたしは、一瞬通った横顔だけで。わかってた。
彼は、全然変わってませんでした。 ちょっと髪が伸びてたかな。
記憶の引き出しってものがあるのなら、 忘れてたんだじゃなくて、ただ、その引き出しになおしてただけ。 本当に、はっきりと、覚えてた。
友達と二人で歩いてた。彼女と二人じゃなくて、よかった。
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