或る日、すすきの。
北国最大の歓楽街。……まず、嫌いなんだけどね、すすきのという街が。自分の意思では絶対に行かないね。まず、此処に用事なんか無いものね。どうしてコンパの大半はすすきので行われるのだろう。別に大通でも駅前でも良いじゃないか。――そう思うのは、私が賑やかな席を好いていない所為なのだろうな。皆が楽しいのなら、別に構わないのだが。 20時解散の予定が、後輩の面倒を最後まで見て45分オーバー。皆結構飲むなあと思いつつ、酔わない自分を不審に思いつつ。結局はこういう立ち回りなのかしらと、少し鬱々とする。後輩が慕ってくれるのは素直に嬉しいのだけれども。どうも、面倒見が良いと思われるのは辛い。実際そういうわけではないからなあと、自分に嫌気すら差す。八方美人なのだろうか、とか。嗚呼、嫌だなぁ、自分自身が。
他者が私のことを高く評価してくれるのは、其れは嬉しいけれど。其れは、私自身の評価とは勿論違うわけで。違って当然なわけで。如何にも過大評価され過ぎるのが、痛い。其れが「良い」のか「悪い」のか、そういう判断基準ではなく。自分として、時々重く感じられるだけなのだけれども。何だろう、言葉にし難いのだけれども――重圧を感じる、服の裾を捉まれて前に進めないような、寧ろ服の裾を引っ張られて躓きそうになりながら早足で前に進んでいるような。
懐かしい音曲をひとつ、発掘して流している。笛の音がメインパートの。寂しげな音が、時には感傷をそそるだろうか。
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