長い長い螺旋階段を何時までも何処までも上り続ける
一瞬の眩暈が光を拡散させて、現実を拡散させて、其れから?

私は、ただ綴るだけ。
音符の無い五線譜は、之から奏でられるかも知れない旋律か、薄れた記憶の律動か。








2004年12月03日(金)

 一日にして、真冬になった。冬が訪れた、のではない。そうして数日もすれば雪は解け、また積もり、其れが何度か繰り返されて根雪になる。毎年同じ事。冬将軍は、何時だって暴れている。
 大地に雪が積もる、其の最初の一片を見てみたいと、エッセイか何かで其のような言い回しをよく見かける。北国に長年住んでいれば初雪だの積雪だのが珍しくないように、最初の一片を見ることも難しくは無い。大気の温度が下がり、吐息が白く濁り、アスファルトが一定温度以下になった時、雪は溶けずに其の侭残るだけ。草地はアスファルトより少し早く、積もる。只、其れだけ。
 そうやって、少しずつ、無感動になっていくのかも知れない。

 冬の、灰色の空は好き。曇天。蒼穹の下、雪の上に落ちるブルーグレーの影も好きだけれど。灰色の空は、如何にも冬という雰囲気を醸し出し続けている。太陽が傾き掛けた時に5階や6階の高さから北を臨むと、白い建物が朱色に染まっている瞬間も、好き。秋に木々が葉を落とすよりもずっと、寂しげだ。
 そうやって、何か美しいと感ずるものを記憶していようとする。

 全てに対してやる気が起きないのは、単に忙しいからだと思い込む。多分実際其れが一つの要因なのだろうから。疲れた。そう感じるのは、今が忙しい事以上に、明日は之をしなければならない、来週は其れをしなければならない、冬休みはあれをしなければならない――そんな風に近い未来が潰れていく事が、途轍もなく空虚に感じられる瞬間があるということ。
 暇なら暇で時間が有り余っていることを空虚に思うのよ、きっと。だから之は、無いものねだり。そうとは理解しているのだけれど――鬱なものは、如何しようもない。










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