今日の日経を題材に法律問題をコメント

2009年02月25日(水) 新聞の1面を使ってまで書くべきことだろうか

 日経(H21.2.25)1面で大きく、日経新聞社の株主資格訴訟において、東京地裁が、高杉良氏への譲渡は無効と判断したと報じていた。


 日経新聞社では言論・報道の自由を守るという趣旨から、株式の譲渡の相手を「事業関係者」に限っているところ、社友(会社のOB)が、高杉氏へ株式を譲渡したことについて、日経新聞社が譲渡無効と主張していたものである。


 東京地裁は、高杉良氏は「事業関係者」ではないので、その譲渡は無効と判断したが、それ自体は妥当な判決であろう。


 また、日経新聞社としても、株式がまったくの第三者に譲渡されると報道の自由が脅かされるおそれがあるから、自社の主張が認められたことを1面に掲載してアピールすることもおかしくはない。


 ところで、この事件では、同時に、譲渡した社友に対し、日経の信用を傷つけたとして、日経新聞社が社友資格を取り消したのであるが、東京地裁は、社友資格を取り消したことは無効であると判断した。


 この判決に対し、日経新聞社は「新聞社の独立を脅かす許しがたい行為であるにもかかわらず、裁判所の理解を得られず遺憾である」と書いていた。


 しかし、新聞社の独立を確保するためには株式譲渡を無効とすればそれで目的は達するはずである。


 日経新聞社にとっては、社友の行為は「許しがたい」のかもしれないが、それは自社の関係者が不始末をしたことに対して「許せない」と言っているに過ぎない。


 それはそれで争えばいいのだろうが、新聞の1面を使ってまで「遺憾である」と書くべきことではないだろう。


 そのような、いわば新聞を私物化するような行為は、かえって報道の自由を危うくするのではないだろうか。


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