| 2008年11月28日(金) |
裁判官は書面を偽造と認定することはあまりない |
日経(H20.11.28)社会面に、京都のかばん店「一澤帆布工業」の相続をめぐる訴訟で、大阪高裁は、一澤前会長の遺言書は偽物で無効と認めたという記事が載っていた。
遺言書には「従前の遺言書を取り消し、保有する自社株は長男と4男に相続させる」と書かれており、裁判ではそれが本物かどうかが争われた。
大阪高裁は、遺言書に「一沢」という文字の認め印が使われた点について「信夫氏は『一澤』の文字に執着しており、『一沢』の印を使ったことは極めて不自然」と指摘し、また、信夫氏の要請で3男が社長となっていたのに、自社株を長男らに相続させるという「内容は不自然、不合理である」としたようである。
この大阪高裁の判決は少々毛色が変わっているように思った(批判する趣旨ではない)。
認印であっても遺言書は有効である。
また、誰を跡継ぎにするかについて、経営者の考えがころころと変わることはよくあることである。
それゆえ、多くの裁判官の思考では、「書面の形式が整っている以上、あえて無効とするまでの強い理由はない」と考えると思う。
現に、一審では、遺言書は有効と判断している。
大阪高裁の判断が正しいかどうかはよく分からない。
ただ、裁判官は書面を偽造と認定することはあまりないということであり、それゆえ大阪高裁の判決はやや変わっているということは言えるだろう。
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