| 2008年08月11日(月) |
会社でのメールの監視はどこまでできるか |
日経(H20.8.11)14面で、「会社での社員のメールの監視はどこまでできるのか」という記事が載っていた。
その中で次のような裁判例を紹介していた。
部下の女性社員からセクハラ容疑をかけられた男性上司が、その女性のメールをシステム担当者に指示して転送させ、常時監視していた。
業務システムだったことなどを理由に男性側が裁判に勝った。
しかし、「メールの私的利用の禁止や監視基準が社内で告知されていなかったうえ、個人的理由による監視だった」として、この裁判には批判が出ている。
この記事で言っている判決は平成13年12月3日付け東京地裁判決のことであろう。
確かに、会社としては、無用なトラブルを事前に防止するために、メールの監視基準を明らかにすることが望ましい。
しかし、メールの私的利用の禁止や監視基準が社内で告知されていなければ、メールの監視が当然にプライバシー侵害になるわけではない。
そもそも、上記判決は、事実関係を詳細にみると、問題ある判決とはいえないと思う。
裁判所が認定した事実は次のとおりである。
男性上司にセクハラの事実がなかった。
メールの私的利用の禁止や監視基準が社内で告知されていなかったが、パスワードは各人の氏名がそのまま用いられており、プライバシーが保護されているという期待は低かった。
女性の社内でのメールの私的利用の程度は、許される限度を著しく逸脱していた。
男性は当該部署の部長であり、監視できる立場にあった。
女性のプライバシー侵害の主張が認められなかった一番大きな理由はセクハラの事実がなかったということだろうが、結論として妥当な判決ではないかと思う。
|