今日の日経を題材に法律問題をコメント

2005年06月28日(火) 裁判上の和解の意義

 日経(H17.6.28付)社会面に、うつぶせ寝させといた乳児が死亡した事件で、東京高裁において保育所側が過失を認める和解が成立したという記事が載っていた。

 この事件では、乳児はうつぶせ寝であったが、窒息死ではなく、死因は特定されていない。
 いわゆる乳幼児突然死症候群である。


 私が修習生のときに、乳幼児突然死症候群で亡くなった乳児の遺体解剖に立ち会ったことがある。

 両親は激しいショックを受けていると聞いたが、子どもを持つ親の1人として、そのショックは理解できる。


 記事によれば、裁判所は、「うつぶせ寝にして長時間目を離したことが保育所の過失である」と判断したようである。


 しかし、死因が特定できていないのであるから、過失と死亡との間に因果関係があるとまではいえないはずである。

 そうすると、判決になると、両親の訴えは認められなかったと思う。


 和解には、このような場合に、保育園側に一定程度の責任を認めさせて、妥当な解決をはかることができるという意義がある(この事件でも、6000万円の請求に対し、和解金額は3000万円であったようだ)。


 和解には、本来判決できちんと認定されるべき事実や、認められるべき権利があいまいにされてしまうという問題はあるが、本件についていえば、妥当な解決であったと思う。


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