今日の日経を題材に法律問題をコメント

2005年06月22日(水) 株主代表訴訟を制限することは妥当か

 日経(H17.6.22)19面の「『会社法』どう変わる」というコラムで、経団連が、株主代表訴訟を制限する案を求めたことに対し、国会で修正され、現行の枠組みに近い形になりそうであるとの記事が載っていた。


 経団連が求めたの案の中には、求める損害賠償額よりも、会社が負担する弁護士費用のほうが高いなど、会社に過大な費用負担が生じる場合には、株主代表訴訟を起せないという規定があったそうである。


 しかし、これはひどい提案である。


 当該取締役は会社に損害を生じさせる行為をしたのである。

 そうであるならば、そのような取締役の違法行為を防止する意味から、実際の損害額よりも会社の負担する費用が高くなることがあったとしても、株主代表訴訟は認めるべきであろう。


 もちろん、経団連が心配するような事案はあり得る。

 例えば、損害額が1万円程度しかないのに株主代表訴訟を提起されたような場合である。


 しかし、そのような場合には、会社に対する嫌がらせ目的の代表訴訟であるとして、裁判所が訴えを退けることが可能であるから、会社に過度な負担が生じる恐れはないであろう。


 経団連は、会社利益を代表するとはいえ、公益的立場もあるのだから、公正かつ適正な提案をすべきではないかと思う。


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