どうやら貧乏アパートの逆で、 こっちの私はこの豪華マンションに住んでいるらしい。
立派な門の前のインターホンを、押す。
――いんたーほーん♪
…。普通「ぴんぽーん♪」とかじゃねえのかな…ま、私だからな…
「はーい」
ドアの向こうから、私の声が聞こえた。そして、
かちゃ。
「あなたは?」
現れたのは、いかにも仕事のできる賢そうな好青年である。 にもかかわらず顔だけ同じで気持ちわるい。
「ええと、アポイントメントは?」
私のくせに横文字使うとは生意気である。ないよそんなもの。
「申し訳ありませんが、ちょうど出勤するところだったんです。 会議、その後テレビ局の取材、さらに新聞のインタビュー、 大阪市長選挙の応援、夜は接待と続いておりまして」
な、何者なんだこいつ。
「そっちから訪ねてきてそれはないでしょう。 私、こういう者です」
差し出された名刺、『総理大臣私設秘書』って書いてある… げっ、総理の秘書だって?!
「しかしそっくりだなあ。親父の隠し子かなんかですか」
話せば長くなるから。
「ふ…ふふ この展開でいけば、 読者が次に何を求めているか、わかりますね」
へっ?!
なっ、こ、こいつ…まさか、
「私もブログ書いてんですよね! おもしろいから入れ替わってみましょう!」
やっぱ私だ――――!!!
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