* 世界一ついてない日常
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2003年10月07日(火) 免許証を尋ねて三千里3

それから…まる一日寝ていたらしい。

気がつくと、私は修太郎さんの事務所の自動販売機の上にいた。

…?

こういう場合、『ベッドの上にいた。』じゃないんだろうか…。

「だってお前 寝相わるいから」

見て。すんごいホコリつきましたよ。ほらほらほら。

「寄るな!
 それより、いったい何でうちの若いのに因縁なぞつけたんだ。
 元弟子及び元師匠の縁もあるし。話してみろよ」

実はこれこれこういうわけで。

「わかった。俺の知ってるアロハをあたってみよう」

そしてしばらく後、一人のアロハがやってきた。
あなたですか!人の免許証勝手に使いおって!とんでもない人だ!

「それはこっちのセリフだ!
 お前のせいでオレはひどい目にあったんだぞ!!」

は?

「キャッシングに使ってやろうとしたらバカだからダメと言われるし、
 銀行口座作ろうとしてもやっぱバカだから断られるし、
 住所作るのに住民票移そうとしたらバカはいりませんと突っ返される!
 お前なんなんだよ!」

なんなんでしょう。

「しかも必ず空港の持ち物検査ひっかかる!しかも乗れない!
 特殊な磁石でも埋め込まれてるんじゃねえのか」

あ、私なぜか昔から外国行けないんですよ。
なんか輸出規制がどうとか国家危険誘致がどうとか。

「密航しようとしてもなぜか各国の沿岸警備隊に狙撃される。
 『ノーモアバカ』『バカゴーホーム』好き勝手言われて、
 そのうちグリーンピースまでくっついてくる始末。」

あはは、いつものことじゃないですか。

「仕方ねえから帰るだろ、
 ホテルには泊めてもらえないから野宿するだろ、
 コンビニへ買い物に行ってさえ警報装置が作動するだろ、
 挙句の果て朝起きたら付近住民に退避勧告が出てたよ。
 もうオレこんな生活二度といやだよ。」

それで免許証は?

「捨てようとしたら環境汚損になると言われ、
 まず焼いてみた」

うまかないでしょう。

「別に食おうとしたわけじゃねえよ。
 でも焼けなかった。火がなんかバカみたいにひょろひょろなんだ」

私のせいですかね。

「次に切り刻んで捨てようと思ったが、鋏もくにゃっと曲がる。
 チェーンソーでやろうとしたが機械の方がバカになってしまった。
 それで結局無傷でここにある。
 返すよこんなもの。オレまでバカがうつりそうだ」

おお! ポチ(免許証)!!

かくして――
私とポチ(免許証)は涙の再会を果たし、私の旅は終わったのです。
めでたしめでたし。

           〈完〉


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