アメリは、人を幸せにするいたずらをしました。 私もやってみたいと思います。
朝──着替えて顔洗って、学校へ行くのにバスに乗ります。 と…いたいたいたっ!! お年寄りを発見です。席を譲るのにもってこいです。 さあ!座ってください! 「い、いや…今降りようと思って立ったんだが」 いいからそんな遠慮しないでほらほらほら ヒザかっくんをかまして座らせます。 …おや? 女の子がこっちを見ています。 中学生でしょうか、 重そうな荷物です。持ってやるには最適です。 ほれ持ってやるよ。 「え、え、あの、ありがとう…」 おっと?次オレ降りるとこやがな。降りよう。 「あ!ちょっと!?」 なんだなんだい、礼なんていいのさ。 遠ざかるバス、女の子はまだ騒いでいます。 …ちがうよ。荷物持ってきちまったんだ。 そうだ、落とし物ちゅうことで警察に届けよう。親切すると気持ちいいねえ。 おまわりさーん、落とし物でーす。 「え?ああ、いいから、下がってて」 そんな!人が親切に持ってきたというのに! 「取り込み中なの!強盗が人質とって朝から立てこもってるんだ!」 ほほう。 ならきっと朝ご飯がまだなんですね。買ってってあげよう。 「貴様、近づくな!」 いやですね照れちゃって。ほら最近は人に親切にしてもらうことなんてないから。 はい、コンビニおにぎり。 あ、ちょっと…なんですか?! 「…よし、貴様の方が弱そうだ。人質にしてやる」 つかまっちゃったよ。 まあ代わりにあの女の子助かったからいいや。 ……オレの方が弱そうだった? ちょっとした疑問はおいといて、折角だからお茶でも入れてあげます。 そういえば面白い話があるんですが 「あほ!人質はもっとビクビクして黙って座ってるものなの!」 そ…そうなんですか。 すいません、なにしろ初めてなもので…。 じゃ、なんか手伝うことありますか?身の上話でも聞きましょうか? 「なら話すが…昨日、女房子供に逃げられたんだ…」 あれ、奇遇ですね。ちょうどウチも昨日オヤジに逃げられまして…… 「──って、え?!」 はい? って、あ、オヤジだ。なにしてんのこんなとこで。 「そりゃこっちのセリフだ。なんで昨日家にいなかった」 いたじゃないか!母さんとずっと待ってたんだぞ! あんたが帰ってこないから、庭の草むしりも一人でやらされたんだぞ! 「……ウチに庭なんてねえだろ」 あれ? 「おまえ…また間違えてよその家に入ったんだな。おまわりさーん!」 は? 「こいつ、不法侵入です」 おおおおおい、突き出されちゃったよ!実の父のくせになんてヒドイ! 「いや、な、一昨日母さんと三人で『アメリ』見に行っただろ? 今日は俺も人に親切にしようって決めててさー。」 …やっぱ親子だなあ。 「なんかよくわからんが、不法侵入罪でいちおう逮捕する!!」 おまわりさんのお手柄に協力した親子でした。
って、待て!これで終わるのか?!オレの運命どうしてくれんの──!!
<続>
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