山ちゃんの仕方がねえさ闘病記
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2014年01月17日(金) |
永井荷風の『小説作法』を読む |
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永井荷風といえば「墨東綺譚」や「断腸亭日乗」で有名である。「墨東綺譚」などは東京下町に住む商売女との駆け引きを実際に味わいながら小説に起こしたらしく、臨場感があって面白い。映画化もされている。
「小説作法」は「小説はいかにして作るものか」としばしば問われるので、それに応えるべく書いたものではないだろうか。しかし「これほど答えにくい問いはない」とも言っている。
「行く行くは親兄弟の面倒を見なければならない人は、小説家など志してはいけない。小説は遊びであって正業にするような仕事ではない。」
とは言いながらも後半では小説家の心得をいくつか述べている。
「読書思索観察の三事は小説を書くものとしては怠ってはならない。」 「小説という語はもともと日本語ではない。外国語から借用している語が多いから、漢文や欧州語にも目を通しておくべし。」 「小説は人物の描写叙事叙景何事も説明に傾かぬよう心がくべし。読むものをして知らず知らず編中の人物風景ありありと目に見えるような思いをなさしむること、これが小説の本領なり。」
なんと最後にはこんなにも親切な解説をしてくれていた。
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