コトバアソビ。
無断引用お断り。

2003年04月21日(月) トップ・シークレット。


さて、筆を握っては見たものの・・・。

これから私は自伝なるモノを書こうと思っております。

皆様に読んで頂く際に

ひとつだけ御約束して頂きたい。

読んだ事を、口外しないこと。

それだけは、絶対に厳守なさいますよう・・・。


私は、一介の探偵に御座います。

名は職業柄明かせません。

しかし、かの高名な金田一氏に

降参の白旗を揚げさせたと言う輝ける功績を持ちます。

その割に後世に名が知れてないって?

それは金田一氏の様に語り手を持たなかったからで、

決して私が尊大な探偵でなかったという証なのでなく、

寧ろ、残さずを美学とする私の生き様だと思って頂きたい。

いや、話が逸れました。

そうして時代の闇を生きる私が、近頃、拾いモノを致しました。

いや、拾い『者』とでも言いましょうか。

『彼』は、猫です。

猫のような、少年です。

飽く迄逸れは外観だけであって、

拾われてきたその日から、まるで私の世話女房のようです。

『彼』は、くるくると良く動きます。

そう、まるで狛鼠の様に。

『彼』は、ぷりぷりと良く怒ります。

そう、まるで仔猫の様に。

『彼』はけたけたと良く笑います。

『彼』は、『彼』は・・・。

『彼』を拾ってから、私の全てが狂い始めました。

その証拠に、『私の自伝』が

『彼の話』になりつつあるのですから。

『彼』のことを書こうと思うと、筆が鈍ります。

私は、『彼』の秘密を暴きたくなりました。

腐っても、私は探偵だったのです。

出てきたのは、闇。

溢れ返る、咽返る、闇。

私の探偵としての本能が、告げます。

『彼』にはもう、関わるなと。

『彼』のことを書こうと思うと、筆が鈍ります。


それでも、『彼』は。

在り来たりかも知れないけれど・・・

既にもう、私の太陽だったから。


『彼』と離れては、私はもう、私として在り得なかったのです。






 既知  置場  未知


本田りんご

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