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2008年06月11日(水)
アメーバブログの「タレントブログ囲い込み戦略」

『週刊SPA!』2008/6/10日号』(扶桑社)の記事「[タレントブログ]儲けの仕組み」より。

(「」内は、「アメーバブログ」を運営しているサイバーエージェントの広報・IR(企業経営者による投資家向けの広報活動)担当者の発言だそうです)

【いち早くPV(ページビュー)を上げるために、注目度の高いタレントを集める。そのために専門のグループを組織し、囲い込みに行く。それがアメーバブログの戦略なのだ。そのため同社では、他のブログポータルとは違い、タレントブログに対し、特別なケアをしている。

「公式タレントブログは、一般ユーザーのブログに比べて、大量のアクセスやコメントの書き込みに耐えられるように専用のシステムを使っています。また、24時間体制で人員を配置し、すべてのコメントを人力でチェックする仕組みも導入しています。荒らし目的のコメントが書き込まれた場合、基本的には15分以内に対処。芸能プロダクションのみなさんに、タレントさんのプロモーションツールとして、安心して使っていただけるようにしています」

 タレントや芸能プロダクションにしてみれば、ありがたい話だが、それ以外に何か優遇していたりはしないのか? 例えば、テレビで視聴率が取れるタレントはギャラも高い。それと同じようにPVを稼げるタレントブログには、ギャラが発生していてもおかしくない。

「弊社では、出演料のようなものは基本的にはお支払いしていません。弊社はPVアップ、芸能プロダクションは高いプロモーション効果ということで、お話を進めさせていただいております」

 あるブログポータルから誘われた経験を持つ某芸能プロのY氏も「お金の話は出なかったですね。ブログを始めるときも、いつやめてもかまわないくらいの軽いノリでした」と言う。
 アメーバブログは基本的にはノーギャラらしいが、前述の小林氏(『WEBありばば』で、ITとアイドル事情を取材されている小林真一さん)によれば、「『しょこたん☆ぶろぐ』がエキサイトに移籍した際は、実際に2000万円の移籍金が発生したようです。ブログの移籍でお金が動いたのはこれが最初で、今のところ他の事例はないでしょう」と、大金が動いた事例もあるらしい。ブログビジネスはPV命。そのための有効な手段として、タレントブログが果たす役割は大きいようだ。】

参考リンク:「アメブロってコメント欄を勝手に削除してないか?」(電撃ネットワーク ギュウゾウ ブログ『ギュウゾウ新聞』(2008/5/29))

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 僕はこの記事を読む前に、参考リンクのギュウゾウさんのエントリを読んでいたのです。それで、この記事を読んで、ギュウゾウさん自身は知らなかったみたいだけど、アメブロは事務所と「そういう契約」をしていたのだということがわかりました(ただし、橋本志穂さんのブログには【あなたには、アメブロの担当者が監視をしてない。監視つけますか?イヤなコメントはコチラで削除させて貰いますよ」と。。。「え?!」ちょっと悩んだ。悩んで、お断りしました。】との記述があり、芸能人ブログはすべて「監視」が義務化されているというわけでもないようです)。サイバーエージェント側も、『SPA!』の取材にこんなコメントをしているくらいですから「芸能人ブログに対して特別な措置をしている」ことを隠してはいませんしね。
 これを読んでみると、アメブロが「芸能人ブログ」を優遇することによって、PVアップやブログサービスの知名度向上を目指しているのがよくわかります。
 専用のシステムを使い、【「24時間体制で人員を配置し、すべてのコメントを人力でチェックする仕組みも導入しています。荒らし目的のコメントが書き込まれた場合、基本的には15分以内に対処」】なんていうのを読むと、「芸能人ばっかり贔屓しやがって」なんて言いたくもなりますよね。コメントが「管理」されることに関しては、必ずしも歓迎している芸能人だけではないとしても。
 まあ、実際問題として、芸能人ブログは「炎上」しやすいのは確かですし、最近は事務所も「炎上」のリスクを恐れて「ブログ禁止」をタレントに通達していることが多いそうなので、このくらいは、タレントにブログを書いてもらうための、最低限の投資なのかもしれません。「24時間体制」って言われるとなんだかものものしいですが、実際はアルバイトの学生が手作業で削除しているだけ、というのが実情のようにも思われますし、他のメディアに「出演」してもらうことを考えれば、ブログを書いてもらう側にとっては、「芸能人ブログ」というのはかなり「コストパフォーマンスが高い」のでしょう。

 それにしても、『しょこたん☆ぶろぐ』の移籍金2000万円という話には僕も驚きました(事実であったら、とすればですが)。もちろん、そのお金の全部が中川翔子さん本人の懐に入ったわけではないでしょう。移籍の際の中川さんの歯切れの悪さを思い出すと、この話にはそれなりに信憑性があるように感じられますし、別に、お金をもらって移籍することが悪いってわけでもないんですけどね。
 ただ、「ブログで人気が出た」のではない「いまが旬の芸能人」にとっては、ブログというのは、諸刃の剣というか、「リスクの割にはメリットが少ない媒体」ではありそうです。ブログが炎上してCM1本無くなれば、損害は2000万円どころじゃないでしょうから。
 さりとて、ブログで名を上げようとしている売り出し中の芸能人ブログは、他の芸能人の悪口や局アナの愚痴を書いただけで「炎上」してしまいますし、それをチェックしてくれる人もいないわけですから、結局のところ、芸能人にとって「ブログをうまく利用する」というのは、すごく難しいことのように思われます。