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2007年02月20日(火) ■ |
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『CanCam』『LEON』の広告収入の秘密 |
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「日経エンタテインメント!2007.3月号」(日経BP社)の特集記事「儲けの(秘)レシピ20」の「雑誌広告を売る」の項の一部です。
【ときに1冊1kgを超える女性用ファッション誌。ここまで太らせるのに大きく貢献しているのが広告ページだ。では1号当たりいくらくらいの広告収入があるのか。ファッション誌を含む主な40誌について調査した。 雑誌の広告は、広告ページ数×1ページ当たりの広告単価で決まる。そこで入手できる最新号について広告ページをカウント、広告代理店向けの雑誌媒体資料に記載された広告単価を参考に、1号当たりの広告収入を推計した。 その結果、1位はエビちゃん効果で絶好調の『CanCam』で約3億円。100ページ以上の広告ページが入っていた。ちなみに『CanCam』の発売部数は約64万9000部(日本ABC協会調べ)。とすると1冊当たりの広告価値は500円ほど。 女性誌以外では男性ファッション誌『LEON』がトップで約1.7億円だった。『CanCam』と同様に1冊当たりの広告価値を計算すると、部数は約7万4000部(日本ABC協会調べ)なので、2300円ほどになる。 ファッション誌以外では総合誌『文藝春秋』が約1.1億円、『PEN』『BRUTUS』といったカルチャー雑誌も約8000万円と広告収入は多い。 一方、雑誌は広告以外に販売収入もある。小学館が1年に『CanCam』から得る収入を概算してみよう。広告収入は3億円×12冊=36億円。広告代理店の手数料1割を引くと約32億円。販売収入は1冊620円×65万部×12冊=約48億円。書店や取次の取り分が引かれて、出版社に入るのは6割強程度なので約28億円。合計で60億円と見積もれる。 ただし、ここで計算したのは、広告が定価で売れたときの数字。実態は割り引きも少なくない。】
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この記事によると、『CanCam』にカラー1ページの広告を出すと、広告料は240万円になるのだそうです。見開きだと500万円近く。ちなみに、僕がよく読んでいる雑誌では、『モノ・マガジン』(月刊誌)がカラー1ページ140万円で、1号あたりの広告収入が約4300万円、『週刊ファミ通』は、カラー1ページが110万円で1号あたりの広告収入が約3100万円でした。 『日経エンタテインメント』に掲載されている「雑誌広告収入リスト」を眺めていると、広告収入の額というのは『LEON』の例でもわかるように、かならずしも発行部数に比例しているというものではないようです『CanCam』や『LEON』のように、読者の多くが「カタログ的に利用している雑誌」は、当然、宣伝効率が高くなるはずですしね。しかし、僕は『文藝春秋』を買うたびに広告の多さ、それも「記事のようにしか見えない広告」の多さに驚かされるのですが、あの分厚い雑誌にも、それなりに「宣伝効果」があるんでしょうかねえ(ちなみにカラー1ページあたりの広告料は168万円)。『週刊ファミ通』なんていうのは、雑誌を買う人と広告されているゲーム関連商品を買う人が合致している雑誌ですから、広告媒体としてはものすごく効率良さそうだな、という気はするのですけど。 しかし、『LEON』の「1冊あたりの広告価値が2300円」というのは凄い。それだけ広告価値があると判断されているというのは、ある意味、読者がものすごく掲載されている品物を買っている、ということなのでしょう。いっそのことタダで配ったほうがいいんじゃないかとすら思いますが、流通の問題もあるだろうし、「『LEON』を買っている男」というのがステータスだと考えている人も多いのでしょうから、なかなかそうもいかないのでしょうね。 それにしても、これだけのお金を払ってもらっていれば、雑誌では広告主の悪口なんて絶対に書けないだろうなあ、と思います。あんなに売れている『CanCam』でさえ収入の半分は広告収入ですし、『LEON』では広告収入のほうが圧倒的優位に立っているのです。「読者を大事に」って言ってはいるけれど、「読者がいないと広告取れないからなあ」というのが本音なのかもしれません。そして、「雑誌の広告を見てお金を使ってくれる読者」こそ、雑誌の生命線なのです。 『ファミ通』のクロスレビューで、大広告主の新作ゲームに低い点数をつけられないのも、企業の立場からすれば、いたしかたないところではあるのですよね。
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