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2006年12月24日(日)
「メリークリスマス」が言えない国

asahi.comの記事より。

【「メリークリスマス」と「ハッピーホリデーズ」の対立が続いてきた米国のこの季節に、今年は少し静寂が戻った感がある。店員に「ハッピーホリデーズ」と言うことを奨励してきた大手小売店が「メリークリスマスも認めます」と宣言、柔軟姿勢を示したことなどで対立が見えにくくなったことが背景にある。

 クリスマスを祝う伝統の「メリークリスマス」の代わりに「ハッピーホリデーズ」と言う傾向は90年代からじわじわ広まった。1年のこの時期はキリスト教のクリスマスだけでなく、ユダヤ社会の「ハヌカの祝い」やアフリカ系米国人の「クワンザの祭り」が重なることから、少数者への配慮が「ハッピー」の広まりの背景にあった。しかし、特にここ2、3年はキリスト教右派などがこれをクリスマスに対する攻撃だとして「メリークリスマス」の復権を強く求める運動に出た。

 昨年まで店員に「ハッピーホリデーズ」を奨励した小売り最大手ウォルマートは年末商戦前の11月、クリスマス飾りを売る区画を「ホリデーショップ」から「クリスマスショップ」に改めるなどの方向転換を発表。「クリスマス」表示の商品を60%増やすとした。追随業者も出て、昨年は「メリークリスマス」支持者の不買の動きまで起きた小売業界という最大の衝突前線がなくなった。

 ただ、今年もいくつかの宗教的なあつれきは生じている。シカゴでは市が運営にかかわったマーケットでキリスト生誕物語の映画の宣伝ビデオの上映を許可するかどうかでもめた。クリスマスツリーばかり14本を飾ったシアトルの空港でハヌカのメノラ飾りをユダヤ教の宗教指導者が求め、ツリーの大半が一時撤去される騒ぎもあった。

 「メリークリスマス」復権のため90年代から活動し、宗教ラジオ局で番組のホストを務めるドン・クロウさんは「大手小売店が正しい決断をしたことで、クリスマスをめぐる戦いは収束に向かっているように見えるが、消えたわけではない。政治的な正しさの名の下で宗教に対する攻撃は続くだろう。闘い続けなければならない」と話す。】

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 「メリークリスマス!」の1週間後に神社に初詣に行くのが当たり前の日本人である僕としては、「クリスマスなんて有害な行事ではないのだし、そんなにこだわらなくてもいいのでは?」と、つい考えてしまうのですけど、アメリカでは、この「メリークリスマス問題」は、大きな社会問題となっていたそうです。アメリカは、「クリスマスの本場」のようなイメージがあっただけに、こんなことが起こっているというのは正直意外でした。

 確かに、アメリカには多くの民族や宗教があり、キリスト教を背景にした「クリスマス」というイベントを受け入れられない人々がたくさんいるのでしょうが、逆に、それぞれの宗教の主なイベントをすべて受け入れられなければならないとすれば、アメリカの人が集まる場所は大混乱になってしまうこと請け合いです。【クリスマスツリーばかり14本を飾ったシアトルの空港でハヌカのメノラ飾りをユダヤ教の宗教指導者が求め、ツリーの大半が一時撤去される騒ぎもあった】などというのは、宗教指導者の立場を考えれば当然のアピールなのかもしれませんが、すべての宗教の信者が満足できるようにするなんてことは不可能だろうし、そうなってしまうと、「もう撤去するしかない」という結論もやむをえないものなのかもしれません。まあ、それを「できるかぎり受け入れるようにしてしまう」ところが、アメリカという国の良さであり、難しさでもあるのでしょうけど。

 しかし、「メリークリスマス」のために闘い続ける!なんていうのを聞くと、日本の宗教心のかけらもない、能天気なメリークリスマスも、それはそれで悪くはないんじゃないかな、という気もしてきますね。
 ちなみに僕は有馬記念ハズレちゃったので、憂鬱なイブを過ごしております。