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2006年02月26日(日)
『DSトレーニング』で、本当に脳は「鍛えられている」のか?

「CONTINUE Vol.26」(太田出版)の記事「GAME OF THE YEAR 2005」より。

(ニンテンドーDSの人気ソフト「東北大学未来科学技術共同研究センター川島隆太監修脳を鍛える大人のDSトレーニング(以下、脳トレ)ついての話題。ちなみに、御存知ない方へ、『脳トレ』というのは、こういうソフトです)

【司会者:ここで、ひとつお聞きしたいのは、果たして『脳トレ』はゲームや否やということなんですが、この点はどうでしょうか?

志田:いや、これはゲームですよ。

多根:単純な計算も、連続して解いていくことによってゲームになり得るというか。

志田:僕、最初は脳年齢が50歳台だったんですよ。それが日々プレイしていった結果、20歳台までになったんです。ところが、続編(『もっと脳を鍛える大人のDSトレーニング』をプレイしたら、また50歳台に戻っていたんですよ。それで「これは脳を鍛えたんじゃなくて、単純にプレイの腕前が上がったんじゃないか」ということに気付いてしまった(笑)。

宮:こういうタイトルって、いろんな会社でネタとして持ち上がっていたと思うんだけど、それを商品に作り上げて、話題を作り上げて、話題を膨らませていった任天堂の戦略は上手いよね。DSのユーザー層拡大にも繋がっているし。】

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 あの松嶋菜々子さんがCMでやっている、大ヒット中の『脳トレ』なのですが、僕も日々(というより、ときどき、かも…)トレーニングしています。まあ、やってみるとけっこう面白いし、確かに「ちょっと頭が鍛えられたような気分」にはなるんですよね。
 でも、実際に『脳トレ』をやっていると、ここで志田さんが仰っているように、【これは脳を鍛えたんじゃなくて、単純にプレイの腕前が上がったんじゃないか?】という疑問が湧き上がってくるのも事実です。例えば、簡単な四則計算を100問なるべく速くやるというトレーニングについては、速く終えるのに必要なのは計算能力というよりは、「いかに速く字を書くか?」というテクニックであり、画面に表示される28個の3文字の単語(「きのう」とか「こいぬ」とか「おでん」とか)を2分間で何個記憶できるか?というトレーニングは、最初は一個一個ばらばらに覚えて自分の記憶力のなさに愕然とするのですが、「きのう、こいぬがおでんを食べていた」というふうに、「関連づけ」「意味づけ」すると覚えやすくなります。「脳そのもののを鍛えているというよりは、このような「高得点を挙げるためのテクニック」を身につけることによってテスト結果の「脳年齢」を上げているという感じで、「これって、『頭が良くなった』というより、『テストのコツを掴んだ』だけなのではないかなあ」とも思えるんですよね。もっとも、「効率良く記憶力を上げる」には、「脳そのものの力を鍛える」というより、この「関連づけ」のようなテクニックのほうが重要なのかもしれませんけど。でも、ほんとにあれで、脳は鍛えられているのだろうか?『もっと脳を鍛える』になるとまた逆戻りというような、応用のきかない「鍛えかた」に、意味ってあるの?
 まあ、大事なのは、「脳を鍛えたような気分になる」ということなのだろうし、そういうニーズが、このソフトがミリオンセラーになるくらいあるなんて誰も予想していなかったのではないでしょうか。それだけみんな「もっと頭を使わなきゃ」という危機感を抱いている、ということなんですよね。「敬老の日」のプレゼントに、ニンテンドーDSと『脳トレ』を贈った人も多いと聞きますし。
 ただ、僕自身は、この『脳トレ』ですら、めんどくさくて最近なかなか手に取らなくなっていんですよね。誰か『持っているだけで脳を鍛えてくれるトレーニング』を開発してくれないかなあ……