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2005年06月05日(日)
ネットが生み出す「疑心暗鬼」たち

時事通信の記事より。

【インターネットの掲示板に知人女性の名誉を傷つける内容の書き込みをしたとして、警視庁八王子署は5日までに、東京都世田谷区役所職員榎本裕容疑者(45)=町田市中町=を名誉棄損の疑いで逮捕した。
 調べでは、榎本容疑者は2月25日、出会い系サイトの掲示板に2回にわたり、別のサイトを通じて知り合った都内の女性医師(37)の名前や携帯電話の番号とともに、卑わいな内容を書き込んだ疑い。
 榎本容疑者は「女性に交際を断られ、その後大量の迷惑メールが届いた。女性からと思い、腹が立った」などと供述しているという。】

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 他人事として考えてみれば、この女性がわざわざこの男のところに迷惑メールを大量に送りつけてくる理由なんてなさそうな気がします。そもそも、そんなに嫌がられていると思うなら、交際なんて申し込むこと自体がムダだろう、と。
 そんなこともわからないなんて、バカだよねえ…と一笑に付してしまいたいところなんですが、考えてみれば、僕にも、こういうのを笑えないところもあるんですよね。
 ずっとサイトをやっていると、いろんなメールを戴くことがあったり、他のサイトをやっている人たちとの付き合いがあったりするのですが、それは、必ずしも好意的なコミュニケーションばかりではないのです。中には、誹謗中傷をされたり、抗議を受けるようなこともあるわけです。まあ、直接自分が名指しで対象になっているものは、腹が立ったり嫌になったりはするものの、それはそれでしょうがないのですが、「これは特定のサイトのことではありませんが…」とか書いてある内容に対して「ひょっとしたら自分のことでは…」なんて勘繰ってみたり、批判的な内容が書かれた直後にスパムメールがたくさん来たら、「まさかあの人が……?」なんて疑ってみたり、似たような内容が書いてあるサイトが直後に更新されたら「パクられたのか?」とかいうような、理不尽な疑心暗鬼に襲われることもあるのです。
 冷静になってみたら、わざわざスパムメールを送ってくるような暇人がそんなにいるわけもないし、僕が書いていることの多くは世間で話題になっていることを取り上げているのだから、他の人と多少内容が被るのは致し方ないことなのに。他人が「一般論として」書いたことにいちいち反応していては、こうしてやっていくのは辛いことですしね。それに、多くの人にあてはまるからこその「一般論」のはず。

 ネットというのは、言葉だけの偏ったコミュニケーションになりがちなので、比較的「疑心暗鬼」を生み出しやすいツールのように思われます。「交際を断られた直後に迷惑メールが多量に届いた」というのも、この男のように出会い系にメールアドレスをさらしていれば、いつなんどき、スパムが多量に送られてきてもおかしくないはずなのですけど……

 ネット上には、つまらない自意識過剰が、今日もまた溢れているのです。