|
|
2004年03月18日(木) ■ |
|
思い返せば、覚えているのはロクデモナイことばかり。 |
|
「読もう!コミックビーム」(桜玉吉著・エンターブレイン)のあとがき(筆者は「コミックビーム」編集長・奥村勝彦さん)より。
【しかしまあ、たかが8年と4ヶ月の間に、いろいろあったもんだ。著者(桜玉吉さん)にしてからが、2度にわたる長期連載離脱、さらに本来、作家にとって頼れる存在である編集の広瀬(ヒロポン)が、ヒューズを3度ほど飛ばし、滅茶苦茶だった。ついでに言っとくと本書の原稿の管理も滅茶苦茶だった。 不思議な事に思い返せば、覚えているのはロクデモナイことばっかだなあ。 イイことだって少しはあったはずなのに、ちっとも記憶に残ってない。 もしかしたら本当に楽しいことはロクデモナイことなのかもしれんな。】
〜〜〜〜〜〜〜
僕はこの文章を読んで、なんだかしみじみと「そうかもしれないなあ…」なんて思ってしまいました。本当に、「覚えているのはロクデモナイことばっかり」だな、って。 卒業シーズン真っ盛りなわけですが、僕が大学を卒業してから、もう8年になります。あんまり優秀でもなく、さりとて悪いことを率先してやれるほどのバイタリティもなかった僕にとっては、大学時代がとくに楽しいものだという印象はありませんでした。 少なくとも、卒業した時点では。
でも、こうして時間が経つにつれ、なんだか、あの頃はすごくいい時代だったような気がしてくるのです。部活の試合で結果が出せなくて部室でひとり落ちこんでいたこととか、試験明けに徹夜でラーメンを食べにいったこととか、後輩とご飯を食べに行ったら、道に迷った挙句に山奥でガス欠になりそうになって、真夏にクーラーも消して必死に運転したこととか… ああ、「いい時代」とかいいながら、思い出すことは、やっぱり「ロクデモナイこと」ばかり。
本当に不思議なものです。当時の僕は、そんなロクデモナイことに一喜一憂して、毎日を過ごしていたんですから。もちろん、楽しかったことだって、記憶にはあるんですが、その楽しかったことには、いつも「バカバカしいような失敗」とかが一緒についてきているのです。友達と旅行に行った話では誰かが財布を失くしていたり、当時好きだった人のことを思い出せば、記憶に残っているのは、なぜか男と一緒に歩いているのを偶然見た場面だったり。 でも、久々に会った旧友と飲みながら話して盛り上がるのは、そんな「ロクデモナイこと」ばっかりなんですよね。
本当に楽しいのは、確かに「ロクデモナイこと」なのかもしれません。そして、本当に大事な人は、「ロクデモナイこと」を一緒にやってくれた人なのかも。 少なくとも僕は、過去の栄光を自慢げに語る人よりも、過去の「ロクデモないこと」を照れながら話す人のほうが好きです。 たぶん僕も「ロクデモナイ人間」なのでしょう。
でもね、それはなぜか、とても温かくて優しい記憶なんだよ。
|
|