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2003年08月02日(土) ■ |
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「バカボンな生き方」は、けっこう大変なのだ! |
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「FLASH」7・29号(光文社)の記事「これが天才バカボンの真実なのだ」より。
(現講談社取締役の五十嵐隆夫さんが、「バカボン」の作者・赤塚不二夫さんの担当編集者時代を回想して)
【最高に驚いたのは担当5年目のころ。10本立ての70ページでやることになって先生は「条件としてアイデアのために帝国ホテルで3日間泊めろ、お前もいっしょだ。ここのステーキがうまいから予約しといてくれ」と。 夜になるとアシスタントが家族や彼女まで次々に連れてきて全部で12〜13人になった。みんな帰って打ち合わせだと思ったら、銀座に飲みにいこうと…。2日目も同じで中勘定すると2日間で100万円ちかくなってた。編集長に連絡すると「バカ野郎! で状況は」、「まだ何もやってません」で、また「バカ野郎!」でホントまいったよ。でもそのあと3日で70ページを仕上げましたからね、その集中力と合理的な仕事には本当に驚きましたよ。】
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遊ぶときは遊ぶ、仕事するときは仕事をする、マンガ以上にマンガ的な人生を志向する赤塚不二夫さんらしいエピソードです。僕もこんなふうに、メリハリをつけて仕事ができればいいのになあ、とこの話を読んで嘆息ひとつ。 しかし、一見豪快にみえるこのエピソードなのですが、その反面、赤塚さんという人の人生観みたいなものが、よくあらわれているような気もします。 考えてみれば、帝国ホテルに泊まって、大勢で大宴会、なんてことをやらなければ、この70ページの「バカボン」を書くのに5日間かかっても良かったわけですよね。 それが、豪遊してしまったために、時間は少なくなり、もう逃げられないという状況に自分を追い込んで、3日で書き上げてしまう。 カッコいい!と思う一方、これは大変だったろうなあ、という気もします。 当時の赤塚さんほどの人気マンガ家であれば、先に「バカボン」を3日で書き上げてしまってから、編集部に「ご褒美」を要求したとしても、たぶんかなえられていたのではないでしょうか?(それとも、先に書いたら知らんぷりされてしまうのかな) それでもあえて先に遊んで…というのは、自分を追い込んで作品を仕上げるのと同時に、彼自身が「赤塚不二夫の生きざま」みたいなものへのこだわりがあったのではないでしょうか? 要するに「ええかっこしい」な生き方。 もちろんこれは、悪い意味ではなくて。
僕たちは、こういう豪快なエピソードに対して「いいなあ、うらやましいなあ」と憧れてしまうのだけなのですが、当の本人にとっては「やせがまん」に近いものがあるんじゃないかなあ、という気もするのです。
ちなみに、この「帝国ホテル事件」のことは、後に「バカボン」のネタになったそうですよ。 豪遊しながら、頭の中は「バカボン」のことで一杯だったのかもしれませんね。
豪快に生きるのもラクじゃない、とか思うのは、僕が小心者だからなのでしょうか。
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