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2003年02月05日(水) ■ |
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作家・中島らも氏の「麻薬取締法違反」に思う。 |
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読売新聞の記事より。
【人気作家の中島らも(本名・中島裕之)容疑者(50)=兵庫県宝塚市南ひばりガ丘=が、幻覚作用を持つキノコ「マジックマッシュルーム」や大麻を所持していたとして、近畿厚生局麻薬取締部は5日までに、同容疑者を麻薬及び向精神薬取締法違反、大麻取締法違反の両容疑で逮捕した。
調べに対し「大麻は以前に使用していた」と話しているが、マジックマッシュルームについては「知らない」と供述。同部が入手先を追及している。
中島容疑者は大阪芸術大を卒業し、吉川英治文学新人賞を受けたほか、1994年には、小説「ガダラの豚」で日本推理作家協会賞を受賞した。テレビやラジオ、演劇など幅広い活動で知られており、自らの薬物体験を赤裸々に紹介する著作も出版している。】
「さかだち日記」(中島らも著・講談社文庫)より抜粋。
(中島らも氏が、オランダのマリファナ(大麻)の大品評会「カンナビス・カップ」に参加したときの日記(注:オランダでは、マリファナは合法です))
【カンナビス・カップの表彰式に行く。広いホールなのだが、空気がない。みんなが吸っているので、ホールの中は煙でいっぱいなのだ。いるだけで意識がぼうっとなってくる。 表彰式は音楽やDJをはさんでにぎやかなものだった。みんな楽しんでいる。こういうものを見ていると、0.8グラム所持していたとかで捕まってしまう日本の現状がとてもつまらないものに思えてくる。】
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中島らもさんが、家宅捜査をうけたときに、自宅で見つかった大麻は6グラムだったそうです。 僕は中島さんの大ファンです。「好きな作家は?」との問いへの答えには、筒井康隆さんと中島さんの名前を欠かしたことはありません。 中島さんは、自らの麻薬体験を赤裸々に語っている作家ですから、今回の逮捕については、意外だとは思いませんでした。 もっと正直に言ってしまえば、「覚醒剤やコカインじゃなくて良かった(いやこれはさすがに不謹慎か…)」と思ったりもしたのです。 中島さんの著書によると、マリファナというのは「タバコよりも体に与える影響は少ないし、依存性もほとんどない」そうですから。 でも、海外だけでは我慢できずに国内でもやっていたということは、「依存性がない」というのは間違いということを自ら立証されてしまったわけですね。
一人のファンとしては、今回の逮捕については、ただただ悲しく、寂しく思います。 僕はもちろん麻薬は人類の敵だと思っていますし、それで人生を過ってしまった人をたくさん知っています。 ただ、中島さんはこのようにも書かれています。 「人類にとっての最大最強のドラッグは、酒だ。」と。 でも、いまさら人間社会から酒を締め出すことなんて、不可能になってしまっているくらい、人類はアルコール漬けなんですよね。
僕は、中島さんが逮捕されたのは、仕方がないことだと思っています。 彼は、禁止されている「麻薬」を所持していたのだから。 でも、彼の書いた麻薬についての経験談やたくさんの知識が「薬漬けの作家によって書かれた、いかがわしいもの」として魔女狩りに遭うのは、とても残念なことだと思います。 「麻薬は怖い!」というイメージを植えつけるばかりで、その真の姿を描いて、人々に知識を与えてくれるたのは、意外に少ないのです。 作品に罪はない(少なくとも中島さんの作品は「自分の体験」ですから)、というのは僕の欲目なんでしょうか? これで、せっかくの麻薬の知識たちが闇に葬られるのも、もったいないことです。 僕は中島さんのような生き方はできないけど、彼の生き方に憧れていました。 今回のような弱さも彼の魅力で、人間として共感できる気もするのです。 でも、犯罪は犯罪。作家だからといって、許されることじゃない。 だから、ただ残念で悲しいです。
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