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2002年10月24日(木) ■ |
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2002年10月24日。 |
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毎日新聞の記事より。
【警視庁ハイテク犯罪対策総合センターと麹町署は25日、日本テレビの「24時間テレビ25 愛は地球を救う」のホームページに爆破予告の電子メールを送信したとして、愛知県豊田市柿本町5、私立大学3年、大原智子容疑者(20)を威力業務妨害容疑で逮捕した、と発表した。 大原容疑者は、日本武道館で開催中の「24時間テレビ」の募金活動を妨害しようと、8月18日午前10時10分ごろ、番組のホームページに愛知県内から携帯電話で「武道館爆破 今、武道館の女子トイレに爆弾をしかけた。あと5分で爆発するようにした。ざまあみろ」と送信し、15分間にわたり入場制限を行わせるなど、業務を妨害した疑い。 大原容疑者は同日午前9時50分ごろにも「今年もやらせ番組をやってますね」とメールを送信していた。容疑を認めており、「自分もボランティア活動をしているが、やらせっぽい番組が気に入らなかった」と話している。】
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なんだか、とても後味が悪い事件になってしまったような気がします。 たぶん、この女子大生は、ボランティア活動を一生懸命にやっていたひとなんでしょうね。 そういう人たちにとっては、「24時間テレビ」って、確かに腹が立つ番組かもしれないなあ。 だって、考えてもみてください。普通のボランティアの人たちが、寒空の下で募金活動を行っていたとして、一般の人たちの反応はどんなものでしょうか?あるいは、あなたならどうしますか? 大部分の人のリアクションは、無視。一部の「善良な」人でも小銭を入れて、いかにも募金してやったというような風情で、鷹揚にその場を去っていくことでしょう。 でも、24時間テレビに出演するタレントのみなさんは、付け焼刃のボランティア精神で、あまり汚い目にも危険な目にも不快な目にも遭わず(いや、確かに24時間ずっと番組を進行するのは、肉体的にはきついとは思いますよ)、募金会場で待っているだけで多数の善意の市民の皆様が、ひっきりなしに「なけなしの」お金を持って集まり、「がんばってください!」なんて声をかけてくれたりまでするわけですよね。 地道に、見返りがほとんどないボランティア活動をされている方々にとっては、腹が立って当然のような気もします。 しかし、だからといって、会場の爆破予告というのは、明らかに行き過ぎているわけで。 そもそも、「ボランティア精神」というのは、自己満足と必要経費以上の対価を求めないということに、その尊さがあるわけですから。 しかし、この20歳の女子大生をはじめとして、世の中には「正しいこと」をやっていると自認するあまり、常軌を逸してしまう人がなんと多いことなのでしょうか。 実は、国家的犯罪や大きな事故を起こしてしまう際に、当事者は「正しいこと」をしていると思い込んでいる場合は、けっこう多いような気がします。 それは、戦争であり、拉致であり、狂信者集団であり。 「正しいことをしているんだから、何をやってもいい」という発想は、ものすごく危険なんですけどねえ。ヒトラーだって、「独裁政治なんかやって、すまんねえ」なんて思いながら、戦争をしていたわけじゃないでしょうし。 それにしても、この犯罪、メールという情報伝達手段がなければ、きっと成立しなかったと思われます。手紙だったら、書いてる途中で思い直しただろうし、脅迫電話をかけるほど本気でもなかったでしょうから。メールの匿名性(と、彼女は信じてたんでしょうね、きっと)と即時性の生んだ悲劇といえるかもしれません。
自己満足のためにボランティアをするって言っても、実際は誰かに認めてもらいたいっていう気持ち、誰にでもあると思うんです。でも、きっと最後に笑うのは、地道にしっかり自分の仕事をやってきた人ですよ。 「愛の貧乏脱出作戦」(終わってしまいましたが)を観ていて、僕はいつも、「最後に笑うのは、3日間だけ必死で修行した依頼者じゃなくて、達人の傍で下働きをしながら、時間をかけて技を盗もうとしている弟子たちなんだろうな」と思っていました。 実際、依頼者たちの店は、一部の継続して努力した人のところ以外は、ほとんどバタバタとつぶれていったみたいですし。
困っている人たちが本当に頼りにしているのは、テレビの画面の向こうのモーニング娘。やいつも泣いてる巨人おじさんじゃなくて、目の前のあなたなんですから。
しかし、この女の子が不運だったのは、日本国民がみんな24時間テレビに感動していると思い込んでいたことなのかも…
24時間テレビを「やらせっぽいけどとりあえず夏の風物詩な、お笑い芸人じゃないひとたちが出演している電波少年」というスタンスで観ている人、実際はけっこう多いんじゃないでしょうか。
そんなにマラソンで完走させたいなら、最初から高橋尚子選手に走ってもらえばいいのにねえ。
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