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2002年10月06日(日) ■ |
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2002年10月6日。 |
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小林よしのり責任編集長「わしズム・Vol.3」(幻冬舎)より。
【1個、59円という、ものすごい安さのハンバーガーが売られている。 なぜ、そんなに安くできるのか? 日本マクドナルドの藤田田社長は、その秘密を明かしている。 インターネットで全世界から牛肉、タマネギ、ポテトなどの価格を瞬時に調べて、一番安いところから大量に仕入れる、というのである。 世界で一番安い牛肉。 …それはどんな牛肉か想像したほうがいい。
(中略) 今、少数の人たちが警告を発しているが、わし(小林よしのり氏)も良心にしたがって描いておく。 『生産地もわからない、世界でいちばん安い牛肉なんて、怖いと思うのが普通の人間の感性だ。』】
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「安かろう、悪かろう」という言葉は、今まで使い古されてきた感があるのですが、この不景気で、ものの値段は、「安くないと売れない」時代になっています。確かに、そう言われてみると「普通の菓子パンよりもはるかに安い、ビーフ100%のハンバーガー」というのは、何か違和感を感じずにはいられない気がします。 ものの値段を安くする方法というのは、企業として利潤を追求するかぎり、基本的にコストを削減するか、薄利で大量に売るかしかないわけです。 たとえば、昔から大学の近くでやっている定食屋なんてのは、おばちゃんの善意による人件費削減と施設投資にかかるお金が少ないため、安くできているわけですね。それも最近では厳しいようですが。 マクドナルドの場合は、この前者と後者をかなりギリギリのところまで追及しているんでしょうし、ハンバーガーでは儲けずに、サイドメニューで利益を出すという戦略をとっているから、こういう価格設定になっているのだとは思うのです。でも、こういう安い肉というのが、どこまで安全性(もちろん、食べてすぐ中毒死することはないと思いますから、長い目でみて、です)にまで気配りがされているかというのは、ちょっと不安な気はします。 世界で一番安い肉が、世界で一番危険な肉とは限りませんが、少なくとも「安いから安全」なんて思う人は、ひとりもいないと思います。 やっぱり、安くするには何かを犠牲にしなくてはならないのは自明の理。 味を落とせば客が離れるし、人件費を落とせば店員が離れる。 もちろん、インターネット導入による買い付けのコスト削減は、価格破壊の原動力にはなっているんでしょうけれど。 それにしても、ほんとうに安全で美味しいものには、それなりの値段がつくのが必然だと思いませんか?
「安い!」「価格破壊!」なんて売り文句に、諸手を挙げて喜ぶ前に、どうして安いのか?をちゃんと考えておいたほうがいいと思うのです。
食費が安い方がいいのは、わかります。でも、食費を削って他の事に使うという発想は、国にお金がないからといって医療費を削って道路を造る政府と一緒で、本末転倒なのではないかなあ、と危惧せざるをえないのです。
人のこと、偉そうに言えた義理ではないんですが、僕も今後、ちょっと気をつけてみようかな、と。
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