監督:大友啓史 出演: 大森南朋 玉山鉄二 柴田恭平、他 オススメ度:☆☆☆+
【あらすじ】 鷲津政彦はニューヨーク帰りの敏腕ファンドマネージャーで、徹底した合理主義で次々と企業買収をし「ハゲタカ」の異名をとっていたが、日本の閉鎖的なマーケットに嫌気が差し、今は海外生活を送り業界内では「ハゲタカは死んだ」という噂まで流れる程だった。その鷲津の元にかつての朋友・芝野が現れ、日本有数の自動車企業「アカマ自動車」が謎の巨大ファンドから買収を掛けられているので救って欲しいと頼まれる。
【感想】 真山仁氏著の同名タイトル小説を2007年にNHKでTVドラマ化し、それが大当たりした事で舞台を現代にして映画化。 だから本作のキャストはNHKのTVドラマのキャストをそのまま受け継いでいます。 ちなみに本作の原作・TVドラマを一度も見た事がありません。きっと本作を見に行くのは最低でもTVドラマ版にハマった人というのが大前提だろうと思うのですが・・・予告編を見てちょっと気になったというのと、相方が大のハゲタカファンなので一緒に見に行こうと誘われて何となく見に行っちゃった、という感じでして(^-^;
コレ、多分TVドラマを見てないと人間関係の背景が判らないのでかなりキツいですね。 ぴよは相方から鑑賞前に登場人物の背景や大まかなエピソードをレクチャーしてもらっていたので割りとすんなり内容に入り込めたんですが、途中で鷲津が「俺は200万で人を殺したんだ」と語るくだり等は、TVドラマ版を見ていない人には何を言ってるのかサッパリ判らないし、もしぴよも先にレクチャーされてなければ「むむ?このシーンは何か後の伏線に違いないゾ」等と勘違いな妄想を膨らませていたに違いないだろうと(苦笑)
この数年で世界の金融市場は激変し、今も混迷を極めている訳ですが・・・本作の脚本家も随分混迷しただろうと。 ネタの柱は企業買収、かつてのライブドアのニッポン放送買収ネタを自動車メーカーに設定を変えている訳ですが、そこにリーマン兄弟破綻とサブプライムローン問題、トヨタショック等のここ1年で起こった経済・金融破綻問題も絡めて行く訳です。結構忙しいですね(笑) 直近のネタも絡めつつ、中東の王族から融資を引き出そうとするくだり等は「撮影時はドバイも元気が良かったんだろうな」と苦笑いしてしまう一幕もあって、バランスがいいんだか悪いんだか微妙な感じがしなくもないです(^-^;
ネタはてんこ盛りですが、最低でも「ニュースソースは朝の情報番組」という程度の知識でも充分理解出来るレベルにまで噛み砕いた内容になってます。少なくともぴよの頭の中なんて「とくダネ」と「ミヤネ屋」でしか構築されてませんから(苦笑)、この程度のオツムの出来でも充分理解出来るという訳です。バカにも優しい作りです♪(こらこら)
買収の仕掛け人が、これまた昨今発展目覚しい「大中国様」辺りなのも面白い。 かなり厳しく中国様を批判する内容になっているのでは?と思うんですが、かの国は言う事無茶苦茶ですからね。最近でもデジタル商品を中国で製造・販売するのにソースコードを開示しなければならないとかいう意味不明な制度を作ったばかりですし(みんなインドに逃げて〜!)、この際ですからもっとコテンパンにやってやれ!って感じですよ(笑)
今回鷲津と対決する「赤いハゲタカ」、中国側のトレーダーとして玉山鉄二君が演じていますが、彼のキャラはとても面白かったし彼の演技もとても良かった。 本作、全体の流れは骨太な金融ドラマと見せかけて、後半は玉山君演じる「赤いハゲタカ」の生い立ちを巡る人間ドラマという構成になっていましたが、玉山君のキャラが立っていたので人間ドラマ部分もしんみりと見れたのは良かった。
株の売買すらやった事のないおバカとしては、「バブル崩壊ってこうやって起こるのか」と感心しながら見ていましたよ。 経済と言うのは、いち早く情報を握る誰かが操作して動いているのだなぁ。その誰かによって時として世界中が混乱する程の大きな波が起こったりするし、一握りのトップランナーが小国の国家予算並みのお金を右から左に動かして巨大な利益を享受し、そして膨大な数のアンカー達が割りを食って、なけなしの全財産を取られて首吊ったりするんだな、と。
バカなので今後も株はやりませーん。いいお勉強させてもらいましたー(^-^;
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