2009年04月01日(水) |
マーリー 世界一おバカな犬が教えてくれたこと |
監督:デヴィッド・フランケル 出演:オーウェン・ウィルソン ジェニファー・アニストン エリック・デイン、他 オススメ度:☆☆☆☆−
【あらすじ】 共にジャーナリストとして第一線で働くジョンとジェニーの新婚夫婦は、フロリダに移住して新生活をスタートさせた。何事も自分の計画通りに物事を進めるジェニーに快く付き合うジョンだったが、「子供を産む」という彼女の次なる計画に、まだ子育てをする自信がなく、更に記者としての自分のキャリアを積むのに子供が出来ると不自由があるのでは?と危惧するジョンは、友人の勧めで「プレ子育て」として子犬を飼う事にした。ところがこの子犬の「マーリー」がとんでもないおバカ犬で・・・
【感想】 アメリカ人コラムニスト、ジョン・グローガン氏の同名タイトル(邦題)エッセイの映画化。 原作本は本国アメリカで250万部以上を売り上げ、世界26ヶ国で翻訳出版された「ワンコ好き垂涎の一冊」だそうです。こんな書き方をしているので当然ですがぴよは原作未読。ってか原作がある事すら知らなかった。 動物モノは決して嫌いじゃないけど、「何見ても泣かせオチで同じだしな」という感じ。だから正直言うと余り内容自体には興味はなかったし期待もしてなかったんだけど・・・オーウェンが好きだからとりあえず見ておくかー♪なだけで鑑賞。
こーいう期待値の低い作品に限って最近は当たりが多かったりするから、映画ってワカリマセンよ(苦笑)
まず、本作を「ワンコ主役のワンコ映画」と思って見に行った人には不評であろうと推察されます。 タイトルもポスターやチラシもあからさまに「ラブ♪なワンコ映画だよん」というオーラを出していますが、本作主役はワンコではありません。あくまでも主役は「おバカ犬マーリーの飼い主夫婦(家族)」 決してワンコを擬人化したりワンコ目線で人間を観察するような描写はありません。あくまでも犬はジョンとジェニー夫妻の飼うペットとしての位置付けであり、バカ犬と生活する事で夫婦や家族が悩んだり楽しんだりしながら成長していく様を見せて行くだけの話。
だから予告編を見て「生き物の大切さを教えてくれる情操教育ムービーね」と勘違いしてお子様と一緒にご覧になったりしたアカツキには、エローい夫婦生活シーンの連発で目も当てられない状態になってしまうというサプライズ付き(笑)
個人的にはこの作りだったのは、逆に嬉しいサプライズでした♪ 犬を飼うという動機からして「大人な事情」だったりする訳ですが、その後もラブラブ新婚時代を経て、やがて子供を持つようになって子育ての苦労や葛藤を体験し、そして子供の成長と共に夫婦も犬も成長し老いて行く。 また「仕事と家庭」の折り合い・・・家族を養う為には自分の目指すモノを諦めなければならないという葛藤や、何もかも計画通りに進んでいた人生が「子育て」だけに関しては決して自分の思惑通りに行かないというジレンマ等、夫側・妻側双方がぶつかる「夫婦として生きる上での壁」をバランスよく見せてくれます。
マーリーとのエピソードの数々は、どれも微笑ましいものばかり(飼ってる本人は微笑ましくないだろうけど)、でもそのどれもがとりたてて情操教育的なお説教染みたモノではなく、ただバカ犬とその犬に散々振り回されて苦労する主人公夫婦の様子を見せるだけに終始しています。 でもペットを飼った事のある人なら判るでしょ?こういう何でもない(どんでもない!?)エピソードこそが、最もペットと飼い主の愛情を強く感じさせてくれるという事を。
健やかなる時も病める時も、嬉しい時も悲しい時も、楽しい時も怒りに震える時も、いつも共にいる。 ペットは家族の一員と呼ばれるけれど決して家族ではない。あくまでも「飼い主とペット」という主従関係があって、その上で時に悲しみを共有するパートナーであり、時に喜びを分かち合う仲間でもある。 そういう「健全な人とペットの関係」を、夫婦の成長物語の上で見せてくれる良作だったと思います。
本作のマーリーに対する最後の処置に対して、賛否両論あるだろうと思います。 でも個人的にはこれもアリだろうと。飼い主としてペットを最後まで責任を持って飼うという事、ペットの為にどういう選択をするのが最良であるかは、やはり共に過ごしてきた飼い主に委ねられて当然だろうと。 この部分だけに囚われて声高に本作を批判して、作品の訴える本質を見誤らないで欲しいと思いますね。
そんな訳で、これから結婚を控えた若いカップル、そして夫婦関係・子育てに悩む世代の方々に広くオススメしたい。 本作は「可愛いワンコムービー」じゃないですよ。あくまで我々と同じ目線の「凡人の素晴らしき人間ドラマ」です。
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