監督:バズ・ラーマン 出演:ニコール・キッドマン ヒュー・ジャックマン デヴィッド・ウェンハム、他 オススメ度:☆☆☆−
【あらすじ】 1938年、イギリス人貴族のサラ・アシュレイは1年も家に戻って来ない夫に業を煮やして、数千キロの距離もものともせずに単身夫のいるオーストラリアにやって来た。そこで待っていたのは夫ではなく「ドローヴァー」と呼ばれるワイルドなカウボーイ。ドローヴァーは仕事を貰う代わりにサラを夫の領地へ送り届ける約束をしていた。ソリの合わないドローヴァーとの珍道中の果てにようやく夫の領地に辿り着いたサラは、そこで衝撃の事実を知る事となる。
【感想】 「ムーラン・ルージュ」で世界中の賞賛を浴びたバズ・ラーマン監督最新作。 先の作品で固い絆が出来たのか?またニコールを起用&お相手は婦女子涙目のステキング!ヒュー様が抜擢。お二人とも豪州出身の俳優さんなので、この映画にはうってつけのキャスティングでしょう。 ニコールもヒューも、共にぴよ大好きな役者さんなので、キャスティングだけでお腹いっぱいです〜♪
話は、英国貴族のじゃじゃ馬お嬢さん(奥さんだけど)vsオーストラリアに生きるワイルドおやじの大恋愛絵巻。 その恋愛絵巻と平行して「アボリジニの失われた世代問題」を取り上げ、アボリジニ人と白人の混血児「ナラ」とサラとの心の絆やナラを取り巻く周囲の環境、当時の「白人同化政策」を批判するというプロバガンダ付き。
映画の予告編を見る限りでは「恋愛モノ@歴史大作風味」というのを全面に押し出している?ようですが、話の語り部はアボリジニの混血児・ナラが担っています。 要するに本作は「アボリジニ問題」が話の柱という事になるのかな?でもアボリジニネタが柱ですよーとアナウンスすると客の入りが悪くなりそうだから「ニコール×ヒューのラブラブ大作」という、またしても誤誘導なのか(溜息) ・・・と思ったら、そーでもない。ちゃんと恋愛モノだった。ニコールは次々とお洋服を着替えて可愛いったらないし、ヒューはいきなり裸で水浴びしてくれたりして(うほっ♪)サービス・ショットにも事欠かない。案外コミカルでもある。
でも、アボリジニの話もちゃんとある。恋愛もある。アボリジニもある。両方まんべんなくある。
普通なら「バランス良く見せて」等と言われるハズなんだろうけど、個人的には「中途半端な」という印象でしたね。 どちらかの分量をグッと減らしてネタを突き詰めた方が良かったんじゃないか?もっと言うと、いっそアボリジニネタはばっさり切り捨てて恋愛物に特化した方がテンポよく楽しめたんじゃないか?という気がします。
そもそもアボリジニの扱いがかなり微妙〜な感じなんですよ。 「ナラの爺ちゃん(純血アボリジニ)」が映画の要所要所で登場するんだけど、この爺ちゃんがトンデモ不思議ちゃんと言うか訳の判らないジジイでしたよ(をい) 何故かジジイは謎の黒魔術みたいな技が繰り出せるらしい。だったらナラの事も守ってやれるだろーに、ナラが捕らえられてしまう!とか肝心な一大ピンチの時には役立たずという半端な役どころだったりするから始末が悪い。ってか、アボリジニは魔法使いじゃなくて人間ですから!呪術師とかそーいう特殊技能持ってると観客を誤解させるんぢゃねーよっ(^-^;
サラとナラの心の絆・擬似親子ごっこのようなほのぼのした感を全面に押し出しているものの、最終的にナラは散々自分を守ってくれたサラやドローヴァーを捨てて、本来の自分の姿に戻り巣立っていく。 結局はサラのした事もドローヴァーのした事も「白人目線の偽善」でしかないという皮肉。まあ、本作はそんな嫌味な表現では決してないので、皮肉な目線で見ているコチラに問題があるのは重々承知していますけど(苦笑) 白人とアボリジニの心の交流を描きたかったのか?それにしてはやはり中途半端な感は否めないです。
まあ、後は「風と共に去りぬ」の豪州版って感じ。 映画のクライマックスが日本軍が攻撃を仕掛けてくるというシーンなので、この部分に過剰反応していきり立ってる輩もいるという話を小耳に挟みましたが、映画の内容的に特に反日を全面に押し出しているという感は全くありません。むしろ日本軍の攻撃によって隔離されたアボリジニ達がドサクサに紛れて開放されたり、悪漢がやっつけられたりして「いい方向」に転ずるきっかけを与える役割を果たしていると思いますね。絵的にも唯一派手な「見せドコロ」ですし。
そんなこんなで、話てんこ盛りだから結構上映時間も長い。2時間45分。 上には散々な書きっぷりですが、見てる時はそれ程時間の長さを感じたりダレたりはしなかったんですけどね。 でもまあ・・・中途半端で見せたい主題のよく判らない話だったなーというのが正直なトコロでしょうか(^-^;
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