監督:西谷弘 出演:福山雅治 堤真一 松雪泰子、他 オススメ度:☆☆☆☆
【あらすじ】 ある日河原で顔を潰され指紋も焼かれた殺害遺体が発見された。被害者の身元が割れ、被害者の離婚した元妻・花岡靖子の所に聞き込みに行った内海・草薙両刑事は、靖子の隣家に住む高校の数学教師「石神哲哉」が、草薙と友人の天才物理学者・湯川学の大学の同窓だと知り湯川に石神の事を話した。湯川は事件には興味を示さなかったものの石神の名を聞いて懐かしくなり、久し振りに石神と話をしようとアパートを訪れたのだが・・・
【感想】 東野圭吾氏著の同名タイトル作品を映画化。 本作で遂に東野氏は直木賞を受賞されましたね。本当におめでとうございました。 そもそも本作は東野氏の「探偵ガリレオ」シリーズがフジTVで「ガリレオ」のタイトルでドラマ化され、そのドラマの大ヒットを受けて映画化されたという経緯がありますが・・・珍しくTVドラマも見てました。だって福山君が大好きなんだもーん♪
TVドラマが好きだったと言うよりも、そもそも東野圭吾さんの作品が好きで、文庫化されたものは全て読んでます。 原作本は映画化に併せて公開直前に文庫化されましたよね。正直「映画を先に見るか・原作を先に読むか」で随分悩みましたが、やっぱりミステリは活字で読んだ方が絶対にいいよな〜と思い、先に原作本に手を出す事に。 もうね、コレね、原作読み終わった時に泣けて泣けて仕方なかった。クライマックスの「種明かし」のシーンでは全身に鳥肌が立ちましたよ。本当にぶるぶると体が震えましたよ。正しく傑作です!みんな読んでね!
・・・って、原作の感想書いてちゃダメぇーーー!(^-^;
えー。そんな訳で「映画」の方の感想。 まず原作を読んだ人なら「堤さんが石神やんの?それムリあるでしょ。堤さんじゃイケメン過ぎて合わないって」と誰もが思うのではないでしょうか?私も「温水がやれ。温水!」と思ってた(をい)
ところがどっこい。堤さんの演技・役作りは凄かったなぁ〜! あのイケメン・堤さんが、ショボくれた風采の上がらない中年男にちゃんと見える。ガリレオと並ぶと誰が見ても明らかに見劣りするつまらない男に映る。嫉妬に燃える様子、狂気に走る目、何もかも完璧でしたね。 ついでに言うと、靖子を演じた松雪さんも良かった。でも彼女は原作のイメージ通りという感じですね。配役が良かった。
話自体はほぼ原作に忠実な作りでした。 もちろん原作では描かれていないエピソードを挿入したり、また原作では書かれていたがカットされたシーンもあり、そこらの足し算引き算は「映像として見せて映えるか・否か」も考慮の上で、あくまでも原作の質を落とさないで工夫された結果の事でしょう。これは悪くなかったと思います。どうして登山したのかイマイチ判らなかったけど(をい)
ただ、原作では石神の独白形式でホームレス達の様子を観察している描写から始まるのですが、映画ではホームレス達を眺めながら歩く石神の心情等は語らせずにただ淡々と映像で流していくだけので、後のオチに対するヒントの見せ方としてはパンチが少々弱い。 自分が原作を読んでいる時に「あれ?」と引っ掛かった部分だったので、この映像だけで果たして何人がクライマックスの種明かしまでに「あのシーンは引っ掛かるな」と思えるのかなぁ〜と、心配になりましたね。 あくまで本作はミステリですから、観客にきちんと推理させようと思うと、オチに対する何がしかのヒントとしてアピールが出来ていなくては片手落ちではないか?というのが個人的見解ですので。
本作はタイトル通り「容疑者X」が主人公で、ガリレオ達はあくまで狂言回しの役割しか果たしていません。 でもコレは原作自体がそうなので仕方がない。そんな訳で福山君目当て(ならまだしも)、柴咲コウちゃん目当てで劇場に足を運んだ人はかなり肩透かしを食らうハメになるのではないでしょうか。
総じて、本作は「原作が非常に良く出来ていた」 だから原作に忠実に作れば間違いなく傑作と呼ばれて当然だろうと思います。逆に、この傑作小説を妙にいじくり回すと原作ファンから怒号の嵐が吹き荒れるのは必至。 もっと言えば原作の完成度が非常に高かったので、いじくり回す部分もなかったと言うべきかもしれません。 個人的には映画よりも原作小説の方がより石神に感情移入が出来て泣けた。映画見ても余り泣けませんでした。
・・・って、だからコレじゃー映画の感想じゃないじゃんっ!(^-^; 仕方ないですよぅ〜。だって原作の方がやっぱり圧倒的に迫力ありましたもん。 本作を原作未読で鑑賞なさった方、是非今からでも原作小説を読んで下さいネ!(笑)
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