監督:ジョエル・コーエン、イーサン・コーエン 出演:トミー・リー・ジョーンズ ハビエル・バルデム ジョシュ・ブローリン、他 オススメ度:☆☆☆+
【あらすじ】 狩りをしていたルウェリン・モスは、偶然麻薬取引のトラブルで銃撃戦があった跡に出くわした。そこで200万ドルの大金が入ったカバンを見つけたモスはカバンを持ち帰る。金の行方を捜す為に雇われた冷徹な殺し屋アントン・シガーに追われる身となったモスは、妻を実家に帰して自らもカバンを持って逃走。古き良き保安官ベルは、現場に残された車を見てモスが事件に巻き込まれた事を察知し、モスを保護すべくモスの妻の元を訪れるのだったが・・・
【感想】 今年のアカデミー賞で作品賞・監督賞・脚色賞・助演男優賞を受賞したコーエン兄弟の傑作。 って、もう説明するまでもないや。と言うか気が付いたら近所のシネコンでもう公開終了しちゃうらしいと判明し、今頃になって慌てて劇場に駆け込んだ訳でして。 そもそもコーエン兄弟の作品って苦手なんですよね。バカのぴよには彼らの作品は難解なんですよ(涙)
助演男優賞を受賞した事で、日本でも一気に知名度の上がったハビエル・バルデム。 予告編で初めて見た時に思いっきり吹いたおかっぱのヅラ、本編見るとむしろあのお笑いヅラが逆にいかにもイっちゃってる人らしくて滅茶苦茶怖い。本当はイケメンなのに・・・本当によくこの仕事請けたよなぁ(苦笑) オスカー取るのも納得!の凄い演技でした。自分で作ったルールに忠実過ぎるサイコキラー。怖い。マジ怖い。
話は大金を持ち逃げした男とイカレた殺し屋の息詰まる追いかけっこが中心。 殺し屋シガーは同業者からも「アイツはイカレ過ぎ」とお墨付きを貰う位に情け容赦ない悪の塊。一方持ち逃げ男モスの方もベトナム帰還兵という経歴を持っていて、あの激戦地を生き延びられたという過去が「絶対に逃げ切ったるでー」という自信に繋がっている。
見せ方が上手いんですよね。 映画冒頭から次から次へと人をぶっ殺し回る殺し屋シガー。最初の内はその残虐で冷酷非道な殺しの手口、それからコイントスで殺すか生かすかを決めるというルールがある事等をつぶさに観客に見せて思いっきり煽る。 で、ルールや手口を散々観客に判らせた後は殺すシーン等を少しずつ省いて、逆に直接殺すシーンを見せない事で観客に「今・・・また殺っちゃったよね?」と想像させてより恐怖心を煽るという手法。 最後なんて、家を出て靴の裏に汚れが付かなかったか確認するシーンだけ。死体すら見せない。なのに背筋が寒くなる。
ところで本作、主人公は誰だったのかイマイチ判り難い。 少なくとも殺し屋シガーは主人公ではない。だって「助演男優賞」取ってるんだもん(^-^; でもずーっと話は持ち逃げ男と殺し屋の追いかけっこ。じゃあ持ち逃げ男が主人公?と思うんだけどそうでもない。なら誰が主人公なんだろうなぁ〜とよくよく考えると、トミー・リー・ジョーンズが演じている「古き良き保安官」が映画冒頭のナレーションをしていたじゃないか!そーか、保安官が主人公なのか!
・・・と思い当たるのは、映画も大詰めになってクライマックスシーンが終わった後。 多分本作は救いのない悪、昔では考えられなかったような悪魔のような犯罪が横行する世相を、保安官の目を通して観客に訴えているのではないか?という気がするのですが、正直よくワカラン。ごめんバカで(薄涙) ラストで保安官が見た2つの夢の内容を妻に語るシーンがあって、この夢の内容にはきっと本作のテーマを暗喩する意味が込められていたんじゃなかろうかと推察する訳ですがー・・・さっぱり判らなかった(^-^;
コーエン兄弟、難し過ぎるわいっ! オスカー取るのも納得の出来ですが、個人的にはやっぱり苦手な部類でしたね。はぁ〜(溜息)
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