監督:フランク・ダラボン 出演:トーマス・ジェーン マーシャ・ゲイ・ハーデン ローリー・ホールデン、他 オススメ度:☆☆☆☆−
【あらすじ】 激しい嵐が過ぎ去った翌朝、湖畔に住むデイヴィッドは息子のビリー、嵐で車が壊れてしまった隣家のノートンの3人で街のスーパーマーケットに買い物にやって来た。大混雑するスーパーに突然1人の中年男性が血だらけになりながら駆け込んできた。「霧の中に何かがいる!ドアを閉めるんだ!」ガラスの向こうから物凄い勢いで深い霧がなだれ込んで来る。慌てて店のドアを施錠して、訳も判らず動揺する客達だったが・・・
【感想】 スティーブン・キングの傑作中篇小説「霧(邦題)」を映画化。 コレを「ショーシャンクの空に」「グリーンマイル」でメガホンを取った鬼才フランク・ダラボンが、またしてもキングとタッグを組んで製作したそうだ。よっぽどキングとダラボン氏は相性がいいんでしょうか? 何でも本作は原作と結末が違うそうで、映画の公式サイトを見ると「映画史上かつてない、震撼のラスト15分」等と物凄い煽り文句が謳われています。
ちなみに原作未読。実言うとキングの作品って肌に合わない。「ドリーム・キャッチャー」なんて映画見てもサッパリ訳が判らないからわざわざ原作本を友達に借りて読んだけど、余りのつまらなさに途中で挫折しちゃった(^-^;
本作は一度も予告編を見た事がなく、どういうジャンルの作品なのかすら全く予備知識を入れずに鑑賞。 簡単に言えば「エイリアン・パニックホラー」ですね。先日見た「クローバーフィールド」とネタ被ってる・・・んだけど、本作はネタは同じでも見せる方向はまるで違う。 「クローバー〜」は単純なパニック映画だけど、本作は「エイリアンに襲撃されてパニックに陥り、極限状態まで行った人間の心理や葛藤や精神状態の変遷、行動」を見せるのが主題になっていました。
勿論クリーチャーの造形自体が充分ホラーなんだけど、それより何より一番ホラーなのは「人間」 人は有り得ない物事に出会うと、まず否定して素直に受け入れられない。時に相手にバカにされたと逆ギレする。そしてその事象が紛れもない事実なのだと受け入れざるを得なくなった時、人はどういう行動に出るのか・・・ 更にはそこへ持って来て「集団心理」という部分が深く介入して来る。問題を積極的に打開しようと行動案を出す者、ただただ恐怖に慄いてなす術もなく震える者、そして宗教論・終末論にすがる者。
クリーチャーの超ド気持ち悪いパニックシーンと、極限状態の醜い人間心理を描き出すシーンが畳み掛けるように交互に登場する訳ですが、当然だけど状況は好転するドコロか悪化の一途を辿り、だからパニックシーンも人間ドラマシーンもどんどんエゲつなくなって行く・・・もうとにかくね、本当に胸糞悪いんですよ(涙)
胸糞悪いんだけど、とにかく見せ方が上手い。 と言うよりも、明らかに観客を胸糞悪くさせる為に作っている。それが余りに上手過ぎるという事なのか。
ここから先を書くとその「震撼のラスト」のオチバレになりそうで難しいんですが・・・ 少なくともぴよは「えええええーーー!?」という反応でした(笑) 余りに予想外のラストだったのでドびっくり。でもこういう事書いちゃうと、コレ読んだ人は大体オチを想像してから見に行くだろうから、それ程驚きがなくなっちゃうかもしれないですよね。ごめんよ(^-^;
でもよく考えると、オチの前振りがあったんですよね。(以下、オチのヒントになるので文字隠します) 【息子が「絶対にボクを怪物に殺させないって約束してくれる?」】と言うシーンがあるのですが、このセリフがまさかああいう形でオチに繋がるとは、見ていた時には気付かなかったですわ。 ま、でも問題の「えー!?」なオチは更にその後に来る訳だが・・・まあ何ともコレはスゴイ。
原作ファンは本作を見たらどう思うんでしょう?ちょっと原作読んで映画と比べてみたくなったかも。 それにしても余りに想像外の展開だったのでぶったまげました。ぶったまげたので評価高めにしましたが・・・ はっきり言うけど、物凄く胸糞悪い話です。見て気分悪くなる事必至ですから心して下さい!(苦笑)
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