監督:エラン・コリリン 出演:サッソン・ガーベイ ロニ・エルカベッツ サーレフ・バクリ、他 オススメ度:☆☆☆
【あらすじ】 文化交流の為に演奏会をしにイスラエルの空港に降り立った、エジプト・アレクサンドリア警察音楽隊の一行。ところが手違いで誰も迎えに来てくれない。仕方なく自力で会場のある町「ペタハ・ティクバ」に向かった音楽隊は、よく似た名前のホテルすらない田舎町「ベイト・ティクバ」に間違えて来てしまった。お金も乏しくバスは今日はもう来ないと言う。途方に暮れる音楽隊の面々だったが・・・
【感想】 2007年カンヌ映画祭他、世界各国でさまざまな賞を獲得した作品。イスラエル=フランス合作。 出演している役者さんは、エジプトからやって来た「アレクサンドリア警察音楽隊」のメンバーもイスラエルの田舎町に住む人々も全て、イスラエルで活躍する役者なんだそうです。当然知ってる役者は1人もいなかった・・・(^-^;
話はすごく簡単で、エジプトからイスラエルに演奏会にやって来た警察音楽隊が迷子になってしまい、たまたま出会った食堂の女主人の計らいで一晩泊めてもらう・・・ただそれだけの話。 まあそんな訳ですっごくかったるいんですが(苦笑) なかなか味があって「いかにも単館ロードショー向け(単館モノ好きさん向け)」な作品です。
まず中東の歴史をサラリとでも知っていないと、本作の味わいは半減してしまう。 ぴよは「中東大好き♪」なので、ここらの歴史はちょっと強い。だからこの作品の背景については改めて勉強する必要はなかったので助かりましたが、日本人は中東・・・特にイスラエル絡みの歴史には疎い方が多いですよね。 正直本作は中東(イスラエル)の歴史に疎い方にはちと難しいかもしれないなー、と思いました。
まあ歴史を知らなくても、本作のまったりした人間描写は多少楽しめるハズ。 たった一晩の出来事で何かが劇的に変わる訳じゃない。むしろ大して何も変わらない。でも、エジプトの都会からやって来た音楽隊に興味を示したり半ば迷惑に思ったりしながらも、少しだけ交流して少しだけ何かを感じる。 翌日になればこの地を去り、もう二度と会う事もない人々との交流だけど、きっと双方忘れられない一時になる。
見せ方が特徴的で、セリフが少なくて何となくボーッとしてるだけのカットが結構あるんですが、このなんでもないシーンが積み重なると何か印象に残ると言うのか・・・セリフのない行間を微妙な表情から想像して楽しむ、そんな雰囲気。 大してセリフを喋ってる訳でもないのに妙にコミカルだったり、時に女主人が饒舌に話せば話す程切なくなったり、登場人物の背景についてそれ程情報が与えられる訳ではないけど、何か心に引っ掛かる感じがするというのか。 地味で静かで取り立てて何も展開しないんだけど(をい)、でもちょっぴり優しい気持ちや切ない気持ちになる。
お気に入りだったのは、軟派な若手団員が引っ込み思案なイスラエル野郎に「口説きの手ほどき」をするシーンと、やっぱり食堂の女主人と楽長の遣り取りかなー。 女主人が「エジプトの映画は毎週金曜の夜12時からやっててね」と語るシーンは何だか切なかった。後何と言っても真夜中に目が覚めた楽長さんの、あの淋しげで何とも言えない表情・・・この役者さん、本当にいい表情をしますね。
まあでもねー・・・寝不足で見ちゃーいけない類です(苦笑) 個人的には双方の国の背景もよく判るので非常に興味深く見ましたが・・・やっぱり背景(歴史)が判らないと、ただまったりしてるだけでぼや〜んとした人間ドラマに感じてしまう可能性は大。
中東好きな方にはオススメしたいですが、ただの「人間ドラマ」としてだけ見たらどうなんでしょう? ぴよにはちょっと評価が難しいトコロですね。是非イスラエルの歴史のお勉強をしてからご覧になって下さい(^-^;
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