ぴよの映画めった斬りコーナー
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【ネタバレも含んでますので注意してねん♪】

2008年02月02日(土) ヒトラーの贋札

監督:ステファン・ルツォヴィッキー
出演:カール・マルコヴィクス
    アウグスト・ディール
    デーヴィト・シュトリーゾフ、他
オススメ度:☆☆☆☆−


【あらすじ】
第二次世界大戦末期のドイツ。贋札作りで逮捕され、後に収容所送りになったユダヤ人のサリーはザクセンハウゼン強制収容所に移送された。そこには印刷技師や美大生等が集められていて他の収容者達からは隔離された場所に連れて行かれ、破格の厚遇を得る事になった。破格の厚遇の代償として彼らに課せられた使命は「プロの鑑定士をも騙す完璧なポンド偽紙幣を作る事」だったのだ。


【感想】
本年度アカデミー賞の外国語映画賞ノミネート作品。
元ネタは自らが当時強制収容所で贋札作りに携わったアドルフ・ブルガー氏著「THE DEVIL'S WORKSHOP(原題)」
ここ数年ドイツ映画は質の高い作品が多いので楽しみでした♪

上にも書いたように、本作で描かれている贋札作り「ベルンハルト作戦」は事実。
手始めに英国ポンドの偽造紙幣を大量に作って英国経済を破綻させよう、ポンドが成功したら次は米ドル、とナチスの考える事は手塚治虫氏のアニメのような夢物語を実現させようという香ばしいものばかり・・・とも言ってられません。
実際にこのポンド偽紙幣は流出し、当時の流通紙幣のなんと10%にまで及んだらしいですから、英国としては本当に深刻な状況だったでしょう。ちなみに偽米ドルは映画中では完成しますが、実際には完成を見なかったそうです。

主人公は元々贋札や偽造パスポート等を作っていた大悪党ユダヤ人のサリー。
厚遇と引き換えに、鑑定士をも騙す程のパーフェクトな贋札作りがミッションとして課せられる。でも贋札作りも匙加減が大切なんですね。あっさり完成してしまうと「用済み」として処刑されてしまうし、いつまでも完成しないとやっぱり「役立たず」として処刑されてしまう。監視の目を誤魔化しながらギリギリの駆け引きをして完成を引き伸ばさなければいけません。

更に、自分達は収容所内でも特別に隔離された場所でふかふかベッドに美味しい食事に娯楽まで与えられて正に破格の好待遇な訳ですが、彼らの家族はアウシュビッツに送られていたり、偽造パスポートを作る為に本物のパスポート(既に処刑された収容者から接収したもの)を取り寄せると、その中に愛する我が子のパスポートが入ってたりする。
自分達の厚遇の裏で日々処刑される仲間や家族達・・・このジレンマに彼らは日々悩み続けなければいけない。

ここらの葛藤の描き方は非常にリアルでしたね。
そして主人公のサリーが、映画冒頭ではかなりの悪党に描かれているんだけど、話が進んでくると仕事の出来ない仲間を助けたり、ナチス将校と綱渡りの駆け引きを展開して仲間の為に薬を手に入れようとしたり、妙に「いい人化」する。
サリーは悪党だけど悪人ではない。同胞を思う気持ちもあるし、自分だって1日でも生き延びたい。そんなリアルな人間の心の動きを繊細に描き出していると思いましたね。

自分の命よりも正義を重んじて贋札作りに抵抗するブルガー(本作の原作者)との遣り取りもスリリング。
ブルガーの言う事はもっともだ、しかしブルガーのやりたい放題にさせたら間違いなく自分達は処刑される。ブルガーの謀反を告げ口しろ(そうしないと自分達全員が処刑されてしまう)という意見がある中、サリーは絶対に仲間を裏切るな、と一喝するのですが・・・このシーンはちょっとジーンと来ましたよ。
ブルガーは自分達の命を奪うかもしれない危険分子だけど、サリーはそのブルガーさえも「仲間だから処刑させない」という強い意志で守り通した。おまいは・・・真の漢(おとこ)だよぅ!←ハゲおやじに軽萌え♪

事実を元に作られた作品なので、人間心理の描写等が非常にリアルで見応えのある作品なのですが、
所詮彼らは「好待遇」された人々なんですよね。いとも簡単に他の収容者達が処刑されている中、暢気に卓球してタバコ吸って美味い飯食って清潔なベッドとシャワーを与えられていた人々。
正直言うと「薄氷を踏むような悲壮感」というのは感じないので、既存の「悲劇のホロコーストネタ」の映画に較べてそれ程の思い入れは持てなかったんですよ。

ネタがネタだけに派手な演出をするのも難しいんだろうと思いますが、正直「面白味には欠ける」と思いました。
しかし面白ければいいってもんでもない!この作品は多くの人が見て知るべき「真実」を綴っていると思いますね。








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