監督:ガブリエル・レイジ 出演:ジョージ・W・ブッシュ ディック・チェイニー ヘンド・アヨウブ、他 オススメ度:☆☆☆
【あらすじ】 2007年10月19日、演説の為にアメリカ大統領ブッシュはシカゴの地に降り立った。厳戒態勢を敷いているものの街には抗議団体のデモが溢れ返り、地元警察と一触即発の緊張状態の中ブッシュを載せたリムジンは演説会場へ向かう。無事演説を終えて車に乗り込もうとしたその瞬間、どこかかから発射された銃弾を浴びブッシュはその場に倒れた・・・
【感想】 2006年トロント国際映画祭国際批評家賞を受賞したものの、その余りにも過激なネタに世界中で上映拒否を食らったというなかなか面白そうな作品。日本でも邦題を「ブッシュ暗殺」にしようとしたトコロ、映倫から許可が下りずにやむなく「大統領暗殺」というタイトルになった事で話題になっていますよね。
近しい未来(ってか数日後だよ!)ブッシュが何者かによって暗殺されたという仮想設定で、ブッシュに関わった様々な人間へのインタビューと暗殺に到るまでの街の様子やブッシュの様子の映像を交互に見せ、更に暗殺後にどういう経緯で捜査や犯人逮捕に到るか等々を淡々と見せていくドキュメンタリータッチな作風。
ってか、コレは流石に悪乗りし過ぎ!? よくこんな映画作って訴えられないなぁ〜と感心しちゃいますよ。あの訴訟王国アメリカが、実名・実像バンバンに使用しているのに上映拒否程度の扱いで済んでいるというのに驚きます。 言い方を返れば、本気で訴えられても仕方がないと思える程、余りにもリアルに作ってある。 映画冒頭で「2007年10月19日」とテロップが入るんだけど、見ていて過去の話、実際にあった話だとつい頭の中で変換して見てしまうんですよね。「アレ?今って200・・・9年?だっけ?」みたいな感じ(苦笑)
それからコレどうやって撮影したんだろう? 当然実際のニュース映像やデモ映像と映画用に撮影した映像を混ぜてCG処理してるんだろうけど、見ていて全然違和感がないというか、本当のニュース映像を見ているとしか思えないくらい「それらしい」作りになっているんですよ。 ブッシュの側近やFBI捜査官へのインタビューの様子も秀逸。ブッシュがいよいよ暗殺されるという核心に触れる部分を語る時などは目を潤ませて声をつまらせちゃったりして・・・もう本当に出来過ぎ!(笑)
と、ブッシュが暗殺されるまでの部分はかなり興味深く見ていたんですが、いよいよ暗殺された後がダルい。 実際にこんな事件が起こったら、どういう経緯を辿って容疑者を絞っていくのか。それから容疑者扱いされた家族の側の話などを盛り込んで見せるんだけど、ここら辺りから急速に興味を失ってきた。
結局「シュミレーション」を見せているだけで、ヒネリがなさ過ぎる・ストレート過ぎるんですよね。 犯人探しシュミレーションに徹して、この暗殺に対する本質的な部分や問題には全く触れようとしていない。だから見ていて段々飽きて来ちゃうんですよ。 ブッシュ死亡のニュースが読み上げられるシーン等も盛り込んでいるけど、淡々とし過ぎていて拍子抜けする程。 勿論インタビューシーンを繋げる事でアメリカの暗部をさりげなく見せてはくれるんだけど、正直パンチが弱いですね。
もう少し観客に「何故ブッシュが暗殺されなければならなかったのか?」「ムスリムとアメリカの関係」「9.11テロ後に噴出しているアメリカの暗部等の問題」を華々しくアピールしてくれれば、もっと最後まで興味を惹ける面白いエセ・ドキュメンタリーになったんじゃないかと思うんですが。ちょっと勿体無い作りだったなぁ〜。
いやぁ・・・でも、今年の10月19日(数日後ですね)に本当にブッシュがシカゴに行ってくれたら、世界中でこの映画が取り上げられて面白いニュースになると思うんですがね。 ブッシュさん、是非シカゴにお出掛け下さい。よろしくお願いします♪(笑)
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