2007年10月06日(土) |
オール・ザ・キングスメン |
監督:スティーヴン・ゼイリアン 出演:ショーン・ペン ジュード・ロウ ケイト・ウィンスレット、他 オススメ度:☆☆☆☆−
【あらすじ】 1949年ルイジアナ州。公共事業不正入札の取材をしていた新聞記者のジャックは、汚職を糾弾する出納官だったウィリーと出会う。その後知事選に立候補したウィリーに興味を持ち、彼の記事を次々と書いてウィリーにも助言。果たして彼は貧困層からの圧倒的支持により知事に当選、ジャックは記者を辞めてウィリーの片腕となった。それから5年後、当初はあれほど正義感に燃えていたウィリーだったハズが、今では汚職まみれで弾劾請求が議会から起こされていた・・・
【感想】 1946年にピュリッツァー賞を受賞したロバート・ペン・ウォーレン氏著の同名タイトル小説を映画化。 原作著書は既に1949年にR・ロッセン監督により映画化されているので、本作はそのリメイクという事になるのかな?ちなみに1949年に製作された作品は未見です。 本作、予告編見て楽しみにしてたんだけど、うっかり見落としてました。相方がレンタルして来たのでようやく鑑賞。
原作小説の方は実在するルイジアナ州知事「ヒューイ・P・ロング」という人をモデルにしているそうです。 州知事在任期間は1928〜32年、その後1935年まで上院議員。その後の結末は本作と同じ経緯を辿ったらしい。
で、本作はジュード・ロウ(相変わらずイケメン♪)演じる元新聞記者「ジャック」の視点で「ウィリー」という人物を見せていくという手法を取っています。 ジャックは上流階級出のボンボンで、本来はウィリーとは相容れない関係ではあるものの、汚職を許さないウィリーの真摯な正義感に心打たれて彼のアドバイザーのような関係になる。 それがそれが・・・いざ知事という権力を手にすると、あれ程正義に燃えてたハズの人物もこーなっちゃうんだよ、と。 どこの国もいつの時代も、政治家ってこんなんばっかりかよぉ〜と溜息が出ますよ。日本も似たり寄ったり?(^-^;
まあ、政治家に限らず人間というのはこういうモノなんでしょう。 理想に燃えている時(ド貧乏時代)はきっと心の底から正義と平等を願っているんでしょう。それがいざ権力と財力を手にして成功するや、今度は私利私欲に走って保身に走る。利用出来るものはなりふり構わず利用する。自分の地位を脅かす存在はどんな汚い手を使っても抹殺する。
本作では「貧民の味方」というスタイルで汚職まみれになったウィリーを、ウィリーの反対勢力であるべき上流階級出身のジャックからの視点で見せているという点がなかなか捻ってあって面白いと思いましたね。 ジャック自身の人間関係や思惑等も盛り込みながら、それが独立したエピソードではなくきちんと本筋のウィリーの生き様にリンクするように描かれているのも上手い。
それから逆光を多用したアングルが多く、映像がやや暗めではあるものの雰囲気が凄く出ていて好感持ちましたね。 ぴよが個人的に好きなシーンは、ケイト・ウィンスレット演じるアンとテーブル越しに会話するシーンと、アンがウィリーと不倫関係だと聞かされて彼女の家の近くに行ったジャックに対してアンが家に入ろうかとする時に人の気配に気付き、一瞬振り返った時にジャックが逆光(顔は陰になって見えない)で立ち尽くしているショット。 表情が全く見えないのに、人影だけで凄くジャックの心の動きが上手く表現されてるなーと思いましたね。
役者の演技も申し分なく(何しろ本作は出演キャストが豪華過ぎる!)非常に見応えのある作品なんですがー・・・
根本的に「面白い話」ではない、むしろすっごいイヤ〜な話なので(苦笑)、見ていて非常に疲れました。(^-^; でも見て損はない。「善は悪から生まれる」「善は作り出すもの」等、なるほど人の心の暗部を見透かしたような含蓄のあるセリフが多くて関心させられます。 でもまあ、本当に見ていてドッと疲れました。こんなに疲れた映画は久し振りです。はぁ〜
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