2007年05月18日(金) |
そのときは彼によろしく |
監督:平川雄一郎 出演:長澤まさみ 山田孝之 塚本高史、他 オススメ度:☆☆+
【あらすじ】 子供の頃、幼馴染みと約束した「アクアプランツ」の店を持つ夢を叶え、細々と経営していた遠山智史の元に、ある日スーパーモデルの森川鈴音が現れて店に居座られてしまう。不審に思いつつも鈴音を居候させる智史だが、鈴音に何か懐かしい気持ちを抱いていた。それもそのはず、実は鈴音は正に夢を約束した幼馴染みの「花梨」その人だったのだ。再開を喜ぶ花梨と智史だが、もう1人の消息の知れなかった幼馴染み「祐司」が、事故でこん睡状態になっていると知り・・・
【感想】 「いまあい」「ただ君」に続く、人気小説家「市川拓司」氏著の同名タイトル作品を映画化。 これを長澤まさみちゃん、山田孝之君、塚本高史君のトリプル主演で作ったという豪華企画!
ところでいきなりアレなんですがー・・・ 少なくとも「トリプル主演」ってのは間違ってますね。確かにまさみちゃんと山田君は主演ですが、塚本君は決して主役クラスの役回りではありません。塚本君ファンが彼目当てに映画見に行ったらがっくり来る事は間違いないでしょう。 別にまさみちゃん×山田君のダブル主演というコピーで問題ないと思うんだけど、どうして塚本君も強引に主役だと映画会社は言い張るんでしょうか?理解に苦しみます。
まあキャストについては置いておいて。 内容もね・・・ぴよは市川氏の原作著書を1作も読んだ事がないのですが(ファンタジーや恋愛ジャンルは苦手なので)、それを差し引いてもこの映画はどれだけ原作に忠実に作られているのでしょうか? もし原作も本映画とほぼ同じ展開だったとしたら、これは原作がクソなんだと言わざるを得ない。(をい)
「主人公が難病・不治の病」「死者からのメッセージ」がファンタジーの王道なのは判りますが、少なくとも市川氏原作の過去の2作品もこのパターンでしたよね。で本作もやっぱり「主人公が謎の難病で余命いくばくもない」という設定。もういい加減飽きないかなぁ〜?これってアレと同じですね。すっかり世間に飽きられた「韓流恋愛モノ」と同じ系譜。 「2年位経ったら韓国でリメイク映画が作られそうだよな」と思いながら見てましたよ。
まあ、そうは言っても映画中盤までの「第一のクライマックス」までは王道なファンタジーながらも楽しめる。 この作品で最もぴよが評価したいのは、何と言っても花梨・智史・祐司の3人の子供時代のエピソードと子役の演技。 映画は中盤まで現在の姿と過去の子供時代の話を交互に見せていくスタイルを取っていますが、この子供時代のエピソードはどれもこれも秀逸ですし、それに3人それぞれを演じた子役が実に上手い! 特に花梨ちゃんは良かったなぁ〜・・・彼女と智史の母親との絡みにはマジで泣けましたよっ!!
それを引き継ぐ形で、映画冒頭に見せるクライマックスのシーンに入った辺りで周囲は鼻をすする音がアチコチで響き渡るという訳です。このシーンの、花梨が祐司に宛てたメッセージを読んで智史が慟哭する姿には、誰も彼もがウットリとした感動に浸り切って「ワンパターンな作りだとは思うけど、でも泣けるわぁ〜♪」と言うハズなんです。
・・・どうしてこの作品、ここで終わっておかなかったんでしょ? 散々泣かせてもらって「後はスタッフロールを見るだけ」と誰もがスタンバイしてからがエライ長いんです。 エライ長いと言うか、もうただの蛇足でしかない。蛇足どころか「ラストシーン」がこの作品を台無しにしています。 正直言ってラスオチのシーン、やたら感動的な音楽流して盛り上げようと頑張ってますが、ぴよはドン引きでしたよ。
この展開にしたかった気持ちは判らなくもない。 こん睡状態の祐司と花梨の絡みを更にオチに繋げたかった気持ちは充分判るんです。だったらこんなツッコミどころ満載などうしようもないオチにしないで、祐司と花梨をラスオチにして、その前にせっかく智史の母親が先に逝ってくれてるんですから(しかも幼い花梨はお見舞いにまで行ってるんですし)、智史の母親vs花梨でこのネタを前に振っておけば良かったと思うんですよ。そうすれば幼少期の花梨のネタがもっと生きるし、誰もが祐司と花梨のシーンに泣き崩れながら感動の嵐と共に映画館を後に出来たハズ。これでは先に逝ってくれた智史のママも浮かばれません。
そんな訳で、ラスオチにドン引きだったぴよはがっくり来ちゃいましたね。 少なくとも骨折経験のある方、1ヶ月以上床に臥せった事のある方だったら、あのラストのまさみちゃんの躍動的な動きとツヤツヤで張りのあるお肌を見て「いくらファンタジーだからってここまで人体構造を捏造すんぢゃねーゾ、コラ」くらいは吐き捨てそうな予感です(苦笑)
そもそも「熟睡したら死んじゃう」という病気ってあるんですか?別にファンタジーなんだからどうでもいいんすけどね。 でも本作を見て「もう市川氏の作品の映画化は見なくていいやー」って気になっちゃいましたよ。
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