監督:堤幸彦 出演:阿部寛 長谷川京子 宮藤官九郎、他 オススメ度:☆☆−
【あらすじ】 徳川三代将軍家光の時代。地球外金属「オリハルコン」で出来た三種の神器の1つ「大帝の剣」を持つ男・万源九郎は、残り2つのオリハルコンを求めて旅を続けていた。道中で豊臣の血を引く美しい姫「舞」と彼女を守る忍者「佐助」を助けた源九郎は、一緒に旅する事になる。ところが舞の体にオリハルコンを求めて地球にやって来た宇宙人「ラン」が寄生。更にランを追い掛けて地球に来た宿敵「ダクシャ」、謎の美剣士「牡丹」らが次々と源九郎達の前に現れる。
【感想】 夢枕獏原作の同名タイトルSF伝奇時代劇小説の映画化。 これを「トリック・劇場版」等を手掛ける堤監督がメガホンを取ったという事で、予告編を見た段階で「ほほーう。堤監督+阿部ちゃんと言ったらトリックコンビじゃないか!」しかもこの予告編のしょっぱい作りの映像・・・これは久々に大笑い出来る王道おバカ映画かもしんないぞ♪と、ちょっぴり期待値が上がりますよー!
おバカ映画大好きなんだけどなぁ・・・ごめんなさい。ぴよは全然ツボに入りませんでした(涙)
そもそも「本作は一体どういった層をターゲットにしているんだろう?」と思ったんですよ。 言っちゃアレですが、完全大人向けにしては作りも展開も稚拙ですし、子供向けにしては難し過ぎるような。大人も子供も両方楽しめる話かと言われると・・・どちらの層にも中途半端(苦笑) 映像も結構グロい殺戮シーンや血しぶきが登場しますしね。その割りに昨今暴力表現にやたら厳しい映倫審査がPG-12指定もされていない模様。こちらも何か微妙に中途半端な評価をされている?
映画の作りとしては完全に「ハチャメチャなおバカ映画」なんだけど、本来の話自体は結構シリアス路線。 思いっきりシャレで作ってるバカ映画にしてはクリーチャーの着ぐるみやCGは微妙に金掛けてる感じ。バカ映画には金を掛けてはいけないという訳ではありませんが、どう言えばいいんだろう・・・とにかく「中途半端」「突き抜けてない」
本気で笑ったのは敵チーム「土蜘蛛衆」の一人で「手妻の藤次」を演じた大倉孝二サンだけだったなぁ。 映画の随所に「お笑いポイント」があるんだけど、話の筋で笑わせるのではなく、キャラの仕草と様子で笑わせるという手法一本槍で(もしかしたら話の展開でも笑わせるつもりだったかもしれないが、ぴよは全く笑えなかった)、確かに仕草や様子にはププッと笑えるんですが、微妙に金が掛かってて微妙に安っぽい中途半端な・・・しかも結構グロい映像に被せると、何か面白くないんですよね。うーん。コレはもう好みの問題でしかないと思いますが。
それに妙に設定が入り組んでいるせいで、おバカ映画のクセに話の筋を追っちゃうじゃないですか。 だからバカ映画だと百も承知しているのに、つい「ランも牡丹もオリハルコン目当てだったんじゃねーのかよ?あんた達これでいいのかよ?」って思わず内容に真面目にツッコミ入れたくなっちゃうんですよ。 こういう部分が自分の中で「中途半端だなぁ」「突き抜けてないなぁ」とノレなかった理由かもしれません。
これ、原作もおバカSF時代物ファンタジーなんですかね? 原作を読んでいないから何とも言えないけど、もしかしたら原作は「本気のSF時代物ファンタジー」なんじゃないか? 話の筋自体はきっと原作に則っているんでしょう。だとすると本来はこういう作りのバカ映画にしないで、思い切ってうんと金掛けて本気のシリアス路線で作って・・・なのに結果として単なるバカ映画になっちゃった!という作風の方が個人的には好みだったかも。本作に似た系統で最近映画化された物で言うと「どろろ」辺りの作りですか。
いや、世間では本気で作ったのに観客に脱力される映画は「超駄作」と呼ばれるんですがね(苦笑) 個人的に「本気でシリアスに頑張れば頑張る程痛いバカ映画」ってのが好きなだけなんだろうと思いますよ。 そんな訳で、世間一般的に「おバカ映画を見て笑い飛ばしたい」という方にはウケるのかもしれません。
・・・どーにもいけませんな。ぴよの感想まで中途半端なモノになってしまいました(涙)
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