監督:クリント・イーストウッド 出演:ライアン・フィリップ ジェシー・ブラッドフォード アダム・ビーチ、他 オススメ度:☆☆☆
【あらすじ】 1945年2月、第二次世界大戦で最も重要なポイント硫黄島。この島の擂鉢山頂上を制圧した米軍は星条旗を掲げた。この星条旗を掲げている写真が、戦争で国庫を食い尽くして疲弊したアメリカ国民の士気を一気に高めたのだ。この写真にたまたま写っていた兵士6人の内、生き残っている3人の若い兵士は本国に戻されて英雄と称えられる。しかしそれは国の思惑で国民から更なる戦争資金を得る為の広告塔として利用されたのだった。
【感想】 クリント・イーストウッド監督の最新作。 本作に関しては説明不要でしょう。多分今秋(冬?)公開作品の大本命なのは間違いないでしょうね。 作る作品が当たり前のようにアカデミー賞にノミネートされ、更にキッチリ受賞している。イーストウッドは本当に凄い。 凄いけど実は余りイーストウッド作品は肌に合わない。世界中で絶賛された「ミリオンダラー・ベイビー」もそんなに好きな作品ではないんですよ。確かに素晴らしい作品だとは思うけど、いい作品と好みの作品は違う。 そんな訳で、期待値は非常に高いけど「またぴよのツボとは微妙に違うかもなぁ〜」と不安交じりで鑑賞。
で、結果から言うと「やっぱり肌に合わなかった」 ←また結論攻撃すると後が書きにくいぞー(苦笑)
確かに映像は凄い迫力なんですよ。 映画序盤から壮絶な硫黄島での戦闘シーンが延々と流れ、更には本国に戻った兵士3人の様子と交互に、まるで兵士達がフラッシュバックを起こすかのように戦闘シーンが差し込まれるという構成になっているのですが、この「まるで平和ボケ状態のアメリカ本土の様子」と「過酷な硫黄島の戦闘シーン」を交互に見せる事で、映画の展開にメリハリが付くと共に兵士達の当惑する気持ちを観客に共有させて感情移入させるという相乗効果も生んでいるのだろうと思います。
それにしても序盤の戦闘シーンが長過ぎた・・・正直言うと軽く居眠りした(苦笑) 戦争映画ファンには間違いなくたまらないステキ映像だと思うんだけど、ぴよは元々戦争映画が苦手だからなぁ〜
本作は決して「アメリカ合衆国マンセー!」ではなく、むしろ当時の国家(今の国家をもか?)をかなり痛烈に批判する内容になっているんです。そういう部分は評価したいです。 それにしても、やっぱりぴよのツボには入らなかった。簡単に言うと「フツーにつまらなかった」という感じ(コラコラ)
3人の兵士がそれぞれ「英雄視されて有頂天になっちゃったヤツ」「英雄視される事に猛烈な違和感を感じてるヤツ」「自分が英雄視される事が他の亡くなった兵士に余りにも申し訳なくて、鬱入っちゃってとことん落ちるヤツ」と、3者3様の反応をしてその後の人生もそれぞれ変わっていくのですが、ネイティブアメリカンの兵士の反応が一番のツボ。 彼の様子が観客にとって最も共感と感動を呼ぶと思うのですが、今一つ描き切れていない気がして勿体無いと思った。
いっそネイティブアメリカンの兵士1人に焦点を絞って、彼の目から見たアメリカに巣食う偏見、傲慢、虚飾、卑劣な国民操作のハウツーの様子を描き出してくれればいいのになぁ〜と思ったんですよ。 例えば・・・彼は自分と共に星条旗を掲揚したマイクの事を「彼こそが本物の英雄だ」と言ってマイクの母親に取りすがって号泣するのですが、どうして彼がマイクの事をあそこまで英雄視するのかが映画を見ててもさっぱり判らない。 硫黄島で戦死したから英雄なんですか?それだけでは余りに説得力がなさ過ぎる。もう少しこのネイティブアメリカンの兵士の心情や彼の語ったセリフに対する裏付けになるようなエピソードを丁寧に入れてもらえれば、より彼の言葉に説得力が出ると思うし、アメリカという国の腐敗した部分をダイレクトに観客に訴えられると思うのに。
イーストウッド氏の訴えたいポイントとぴよが見たい部分のポイントが違うだけなのかもしれないけど、見ていて何とも消化不良な感じが否めなくて話にすんなり入れず、結果共感や感動には到らなかったという感じですか。 まあ・・・所詮オツムが弱いぴよが見ても、この作品の素晴らしさは判らないって事なんでしょうなぁ(涙)
でもこの映画の逆視点を描いた「硫黄島からの手紙」、これは絶対に見ますよ。 「硫黄島からの手紙」を見ればようやくこの作品の意味を理解出来るんじゃないかと・・・バカなりに期待してます(苦笑)
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