2006年10月16日(月) |
トンマッコルへようこそ |
監督:パク・クァンヒョン 出演:チョン・ジェヨン シン・ハギュン カン・ヘジョン、他 オススメ度:☆☆+
【あらすじ】 1950年代、南北戦争最中の韓国の山奥にある「トンマッコル(子供のように純粋な、の意)」という名の戦争とは無縁の平和な村に、アメリカ人パイロット、韓国軍の兵士2人、北朝鮮側の人民軍の兵士3人の計6人が迷い込んで来た。一触即発状態の兵士達だったが、自分達のせいで村の備蓄倉庫の食料を台無しにしてしまった事がきっかけで、一時休戦して村の畑仕事を手伝う事になった。平和な生活の中で人間らしさを取り戻し交流するようになった6人だったが・・・
【感想】 2005年の韓国国内興行収入NO.1に輝き、実に韓国国民の6人に1人が鑑賞したというフレコミの鳴り物入り映画。 本作の音楽を、長年ジブリと蜜月状態だった久石譲氏がジブリをぶった切って担当したというのも話題ですね。 ・・・「韓流に飽きた」って先日の「連理の枝」の感想にも書きましたが、どうも気乗りのしない書き出しですね(苦笑)
そうは言っても、本作は予告編を見る限りワンパターンの王道恋愛モノではなく、ファンタジー+コメディ+ヒューマンらしい雰囲気がプンプン匂うので、ちょっと期待値を上げて鑑賞した訳ですが。
これはねー、予告編を見ちゃいけませんねぇ(溜息) 日本の映画配給会社の辛い気持ちはよーく判る。このオチの作品を今の世界情勢下(特に北朝鮮問題がねー)のしかも日本で上映しようと思うと、観客を騙まし討ちしなければ興行収入が上がらないだろう、という苦渋の選択であのような全く内容とは違う予告編を作っちゃったんでしょう。 それにしても、予告編を見て期待して見に行った観客が怒りに震えるのが容易に想像が付く。全くヒドイ。
前半〜中盤までは、それでもかなりコメディ寄りで笑っちゃったりするんですよ。 映画冒頭で「米軍が一般市民の村も皆殺しにして」みたいな説明が入るのがアレなんですが(苦笑)、それでもファンタジーコメディとして充分楽しめるほのぼの感はあってまずまず面白いんです。
それにしても、この映画は一体何が言いたいんだろう?よくワカリマセンでした。 まあ好意的に見れば「単純に反戦映画」なんですかね。でも北と南が一致団結して米軍機を攻撃するんじゃー全くシャレにもなってないと思いますけどねぇ。 韓流映画の展開のお約束として「コメディタッチ→でも最後は絶対にしんみりさせて泣かせてやる!」みたいな決まりがあるようなんですが、このオチは少なくとも日本人には泣けないですよ。むしろ痛いですね。えぇ。
トンマッコルを守る為に、アホみたいな攻防戦をやらかして大笑いさせて、最後はみんな幸せでニッコリ♪みたいなおとぎ話に終始した作りにどうしてしなかったんだろう?ソッチの方が絶対に観客の満足度は上がると思うのにな。 韓国の方のメンタリティにはこのバッド・エンディングの方が感動出来ていいんでしょうか?少なくとも日本人のメンタリティにはとてもじゃないけど合う作品だとは思えませんよ。
後ね、根本的に上映時間が長過ぎますね。 上映時間2時間超えなんですが、上映時間以上に長く感じます。イノシシとの格闘シーンはエピソードの中でもかなり力の入った見せ場なんですが、延々スローのシーンが続くとダレダレです。ココはスピード感を出す場面とスローの合わせ技で映像に緩急付けて欲しかった。 冒頭の韓国軍vs人民軍のにらみ合いも長過ぎる。もっとすっきりさせて上映時間1時間半位にした方がいいと思う。
そんな訳で、本作は決して「ファンタジー・コメディ」でも「ヒューマン」でもありません。 よく言えば「反戦映画」、でも日本人には余りオススメ出来るネタ&オチではありません。ちょっと残念な作りです。
|