監督:ウディ・アレン 出演:ジョナサン・リース・メイヤーズ スカーレット・ヨハンソン エミリー・モーティマー、他 オススメ度:☆☆☆☆−
【あらすじ】 貧しいアイルランド人・クリスは英国上流階級に憧れる野心家。ロンドンの高級会員制テニスクラブのコーチに職を得て、そこで大金持ちの息子・トムと親しくなる。トムの妹・クロエに気に入られたクリスは、とんとん拍子で結婚まで漕ぎ着けて義父の経営する会社の重役に収まって人生順風満帆。ところがトムの婚約者のアメリカ娘・ノラに惹かれたクリスは、トムとノラが婚約破棄をした後で再開し、ノラとの不倫関係にのめり込んで行くのだったが・・・
【感想】 かつて「NYの旗手」と呼ばれたウディ・アレンが、遂にアメリカに愛想を尽かしてロンドンに移住。 本作は英国移住後にロンドンを舞台にメガホンを取った第一作目。設定にとことんこだわったのか?役者も英国の役者さんを起用して、主人公クリスを魅了する「女優を目指して渡英して来たアメリカ娘」を、NY生まれのスカーレット・ヨハンソンに演じさせる辺り、ウディの手腕が光ります。
ウディの作品は何本か見ていますが、本作を見てまず思ったのは「随分作風が変わったなぁ」という事ですか。 シニカルな笑いと時代の風刺が魅力のウディ作品ですが、本作もすんごいシニカルな結末ではあるものの、全体的な印象としては彼独特のコメディセンスはなりを潜めて、ある意味「大衆向けに洗練された」という感じがしましたね。
多分昔からのウディファンには不満の残る作品じゃないかな?という気がしなくもないですが、特にウディ作品に思い入れのないぴよにとっては、本作はかなり面白かったし楽しめましたね。 むしろ、いつもの畳み掛けるような説教臭いセリフの応酬や思想の押し付け的嫌味な風刺が少ない分、すんなりと話に入り込んでスカーレット・ヨハンソン嬢のエッチな姿態を楽しむ事が出来ましたワ♪←ウディファンの方、読み飛ばしましょう
彼の作品を見ていていつも感心するのは、街角の何気ない風景の切り取り方や、室内装飾のさりげないようで徹底的なこだわりを感じさせる「センスの良さ」 本作もロンドンの古き良き街角、クラッシックなカフェの窓辺、一等地の洗練されたマンション、田舎の豪奢な別荘等、決して押し付けがましくなく、それでいて実に趣味のいい映像を堪能させてもらえました♪
映画のキモは冒頭のシーン・・・テニスボールがネットに引っ掛かった時に向こうに落ちれば相手の勝ち、こちらに落ちれば自分の負け、それは単なる運でしかないのだ、というくだり。 これは正に真理で、そしてこの映画の主題であり、更に巧みなミスリードにもなっている。相変わらずウマい!
今までのようなあからさまな嫌味っぽい風刺は放棄しているものの、でもきちんとクリスvsノラ&ノラの隣人の亡霊と会話するシーンでチクチクと語らせてみたり、ラストシーンでクリスに物憂げな表情をさせる辺り・・・本当にウディ・アレンという人はやる事にソツがないなぁ!と思わされましたね。 少々ウディの作風に食傷気味だったぴよには、本作は彼の作品の中ではかなりお気に入りになりましたよ。
音楽もNYジャズからクラッシックなオペラにリニューアル。 英国移住第一弾、作風をガラリと変えて心機一転。ウディはまずまず成功しているんじゃないですか?
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