2006年03月21日(火) |
THE MYTH/神話 |
監督:スタンリー・トン 出演:ジャッキー・チェン キム・ヒソン チェ・ミンス、他 オススメ度:☆☆☆+
【あらすじ】 考古学者のジャックは数ヶ月前から何度も同じ夢を見るようになった。それは自分が秦の始皇帝に仕える武将になり、古朝鮮から始皇帝に輿入れする為にやって来たユシュウ姫の警護に当たる・・・という夢だ。そんなジャックの所へ親友の物理学者ウィリアムがやって来た。反重力の研究をしているウィリアムは、インドの古代都市遺跡に反重力研究を紐解く鍵があると言って、この遺跡に関する論文を発表しているジャックに付き合って欲しいと頼むのだが・・・
【感想】 人気の「武侠モノ」にジャッキー初出演! 数多くアクション作品を撮り続けているジャッキーだけど、今まで武侠映画だけは撮らなかった。歴史モノというのは史実にどこまで忠実であるべきか?という個々の思い入れや歴史に対する倫理観の違い。それから言い方は悪いけど武侠モノに乗り遅れてしまった感のあるジャッキーが、今更手を出すなら半端なモノではファンは許さないだろう・・・と二の足を踏む気持ちもあったんじゃなかろうか?
そんな訳で、本作はいかにもジャッキーらしい味付けがしてある。 徹頭徹尾真面目を気取った歴史モノにしてしまうと、ファンにはかなり抵抗があるだろうと考えたのか?武侠部分は現代を生きる考古学者ジャックが見る夢の中のお話、だけどその夢は現代に非常に関わりがあって・・・という「現代」と「夢の中に登場する古代」の2つの話を微妙に交錯させて、最終的に1つの話にまとめて行く「変則武侠モノ」という新しいジャンル?に仕立ててありました。
だからアクションも変則モノ? 現代の考古学者ジャックのアクションは、ジャッキーファンが大好きな「コミカルアクション」 そしてジャックが見る夢の中の武将・モンイー将軍のアクションは、非常にストイックで真面目なアクションになっている。 モンイー将軍の戦闘シーンがジャッキーファンには少々衝撃的と言うのか・・・ジャッキーのアクションには血しぶきや凄惨な死体は似合わない、と勝手に決め付けていたのですが、本作の武侠部分のアクションでは今まで決して撮った事のなかった(敢えてジャッキーが避けていたんだろうと思ってたんだけど)凄惨な殺戮シーンを演じています。
他にも、コレもジャッキーが敢えて手を出さなかったんだろうと思っていた「恋愛」「ファンタジー」という要素を取り入れ、どうせ初めて武侠モノにチャレンジするんだから「初モノづくし」で攻めてみるか!みたいな気概を感じさせます。
気概は充分に感じるんだけど、ジャッキーファンのぴよにはやっぱり違和感がある(苦笑) 今更ジャッキーに濡れ場を演じて欲しいなんて思うファンはいないし(いや、本作も濡れ場はありませんが)、美女とラブラブしながら目をハートにしてファンタスティックに空飛んで欲しいと思うファンもいないと思う。 結構しっかりした脚本で、アクションよりもストーリー先行な作りだったとは思うけど、ちょっと作り込み過ぎて昔からのジャッキーファンには少々鼻白むシーンも多かった・・・というのが正直な感想か。
アクションシーンのワイヤー&CG多用は、もう仕方ないと割り切って見るしかない。 インドで繰り広げられるコミカルアクションと、岩から岩へ飛び移るお約束の「危険スタント」、ここらはジャッキーらしさが存分に出ていてファンも納得出来るレベルでしょう。 質の高いコミカルアクションは、スタンリー・トン監督とジャッキーの長年の信頼関係を充分に感じられますよ。
ただ「武侠映画」として見るとどうだろう・・・決して悪くはないけど、いいとも言えない微妙なライン。(^-^; その存在の是非が今も議論されている「秦の始皇帝の地下都市」をモチーフにして、この時代の中国史がお好きな人にはなかなか興味深いネタだっただろうと思いますが、やっぱりジャッキーがシリアスな歴史モノを演じるというのは違和感があるんですよね。そもそも顔が歴史モノに似合わないと思うしサ・・・(苦笑)
昔からのジャッキーファンよりも、ジャッキーやアクションモノには余り興味のない「最近流行の武侠モノ」が見たいという人の方が、本作を普通に楽しめるんじゃないかと思いますよ。 少なくともちょっと前に公開になった「PROMISE」よりは、話もアクションも断然まともですし(笑)
|