監督:テリー・ジョージ 出演:ドン・チードル ソフィー・オコネドー ニック・ノルティ、他 オススメ度:☆☆☆☆+
【あらすじ】 1994年アフリカ・ルワンダ。長年に渡り確執のあったフツ族とツチ族間でついに和平協定が結ばれようとしていた。外資系高級ホテルの支配人ポールは、近くフツ族の民兵によるツチ族虐殺が始まるという噂を耳にするものの、あり得ない事だと軽く聞き流してしまう。ところがフツ族の大統領が暗殺された事で事態は一変、フツ族によるツチ族大虐殺が始まったのだ。フツ族のポールはツチ族の妻と子供、そして近隣の住人を守る為にホテルに一時匿う事にするのだが・・・
【感想】 2005年のアカデミー賞の主要部門(脚本賞、主演男優賞、助演女優賞)にノミネートされて注目された作品。 注目されるのは大いにいい事なのだが、オスカーにノミネートされたお陰でフィルム代が高騰し、日本では余りウケない黒人の内戦ネタだから採算が取れないだろう・・・と、配給してくれる会社がなくなっちゃったそーだ。 それを映画好きの有志が署名活動をして、ようやく配給が付いて公開に漕ぎ着けたらしい。ほうほう・・・
そんな訳で、「ルワンダ」という国の名前は聞いた事があるけど・・・という、お決まりのパターン。(^-^; ぴよのような「世界の出来事に無知過ぎるアホたれ」は是非見るべき一本ですネ♪←これもいつものパターン(笑)
ここのところ「予備知識なしで見るとさっぱりワカラナイ」という難しい社会派映画が流行っているようですが、本作の特筆すべきオススメポイントは、何と言っても「予備知識なしでも、どんなアホでも話が判る」という点でしょう。 映画冒頭でものすごーく判り易くルワンダの植民地の歴史と、それに伴う2つの部族の確執について説明があります。 説明は丁寧だけど説教臭くないし、ちゃんとエンターテイメントしながら見せてくれる。親切設計ですなぁ〜!
要するに「とってもハリウッド映画な作り」なんですね。 世間的には「ハリウッドらしい作り」と言うと、特に映画通の方々の間ではどちらかと言うと揶揄する時に使用される事が多いと思うのですが、少なくとも本作に関しては賞賛する為に使用したい! だって・・・知らねー国の知らねー部族の内戦ネタなのヨ?すんごい掘り下げて難し〜い「判る人には判る」作りになんかされちゃった日にゃ、ぴよみたいなアホは訳が判らずに眠たくて仕方なくなっちゃうっしょ?(苦笑)
「事実の映画化」なので最終的にはどうなるのか結果は判っているものの、見せ方がサバイバル・サスペンスって感じで、とにかくエンターテイメントしていて単純にハラハラ・ドキドキと楽しめるのもいい。 ハラハラ・ドキドキのサスペンス映画として楽しめ、そしてそれが「事実」だという重みも感じさせてくれる。
主人公のホテル支配人ポールは、最終的に1200人を超える人々の命を助けた「英雄」となったが、最初から彼は英雄を気取ってみんなを助けようとしていた訳ではない。 自分の家族さえ助かればと思っていたら、勝手にアチコチから逃げてきたヤツらがホテルに集まっちゃって、結果的に家族を守ろうと思うと皆も守らなきゃいけない・・・みたいな状態に陥っちゃった、という感じ(笑)
でもこの感覚って判らなくもないな、誰だって非常時には自分と自分の家族さえ助かれば!って思うよな。 だけど成り行きで他の人も匿っちゃった以上、段々責任も感じるし「どーせならみんなで助かりたい!」って思うようになるのも自然の感情なんだろうな・・・って、映画を見ながらスゥーッとポールの気持ちに入り込める。
この作品がもしコ難しい社会派を気取った作りだったら、きっとアメリカでも受け入れられなかっただろう。 アホのアメ公(←だから差別用語だっつーの。苦笑)に判らない・ウケない作品だったらオスカーにノミネートされる事もなかっただろうし、そうしたら日本で公開される事もなかっただろう。 そうなると、ルワンダという国でどんな悲劇が起こったのかを知る事もなく、考えさせられる事もなかった。
だから、この作品を「B級ハリウッドのお涙頂戴な作り」と批判する人もいるようだけど、ぴよはこれで良かったと思う。
たかだか10数年前の話なんですよ。しかも今も「解決した」とは言い切れないと思うんですよ。 それに・・・ぴよみたいに「関係ない国の争い事」程度にしか考えずにロクに手を差し伸べなかった大国や国連の体制を動かすには、判り易い娯楽映画としてでも「ルワンダ」という国の事を世界にアピールしなくちゃいけないと思うんですよ。
そんな訳で、「ルワンダ」という国や民族を知らない方、是非本作を見に行って下さい! 見て、知って、そして少しでも考えて下さい。ぴよも色々考えさせられました。
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