2006年02月21日(火) |
イノセント・ボイス 〜12歳の戦場〜 |
監督:ルイス・マンドーキ 出演: カルロス・パディジャ レオノア・ヴァレラ ホセ・マリア・ヤピスク、他 オススメ度:☆☆☆☆
【あらすじ】 1980年、中米エルサルバドルは政府軍と反政府ゲリラとの内戦下にあった。11歳の少年チャバが住む村は政府軍とゲリラ側の勢力境界線上にあり、最も戦火の激しい地域だ。父親がアメリカに単身亡命してしまい、母親からはチャバが頼りだと常日頃言われているものの、子供らしく学校に通い、恋をし、友達と遊びを楽しむチャバ。そんな子供らしい日々もあとわずかしか残されていない・・・12歳になると強制的に政府軍に連行されて兵士にさせられてしまうのだ。
【感想】 2005年アカデミー賞外国語映画賞メキシコ代表作品(残念ながらノミネートまでは行ってない) 本作はロス在住の無名の新人俳優オスカー・トレス氏が、自身の体験を元に脚本を書き、たまたま仕事で出会ったメキシコ人監督ルイス・マンドーキ氏に脚本を自分から売り込んで映画化に到ったそうだ。 オスカー・トレス氏・・・俳優としての目は出てなさそーだが(をい)、ひとまず世に名前が知れましたネ♪
そもそも「エルサルバドル」という国、名前は聞いた事があるけどどこにあるのかすら知らなかったし(苦笑) だから当然だけど内戦があった事も知らなかった。でもぴよのような「世界情勢をなぁ〜んも知らんアホたれ」は、こういう作品は進んで見るべきだと思いますよ。
今も世界中のアチコチで30万人もの子供達が戦場で「兵士」として戦っているそうだ。 それは必ずしも彼らが望んだ事ではなく、国や諸事情で「強制されて」兵士に作り上げられている状況がある。 この映画に登場する主人公チャバも、そしてこの映画に登場する全ての子供達も、行きたくもないのにムリヤリ強制されて政府軍に連行されて兵士にさせられてしまうのだ。
とにかく子供が犠牲になって行く様子を見るのは辛い。痛ましい。 連日の銃撃戦で家の中まで銃弾が飛び交う中、チャバの隣に住む幼馴染みの女の子が流れ弾に当たって亡くなってしまうシーンは冷静に見ていられなかった・・・小学校の校庭に政府軍がやって来て、高学年になった子供達の名前を呼び上げて(本来は12歳で強制らしいが、中には12歳未満の子供もいたようだ)連行するシーンも・・・恐怖のあまり失禁したり、突然の連行劇にただただ泣きながらトラックに載せられて連れ去られる子供達。見ていられない。
ところでこの映画、そんな痛ましいシーン満載なんだが、意外な事に余り「泣ける」という程でもない。 子供達の日常が淡々と綴られて行くんだけど、勿論連日の銃撃戦で疲弊もしているんだろうが、案外こんな状況下でも子供というのは娯楽を楽しんで「子供らしく」生きているモノなんだなぁ、というのが正直な感想。 まあ・・・この「子供らしい」様子が、逆に「12歳(徴兵される)」という年齢に達する恐怖感を煽るのかもしれませんが。
で、この映画から何を受け取り感じるのかが問題なワケですわ。
映画の主題としては「子供達が戦場に兵士として巻き込まれる悲劇」を見せたいのだろうか? でもぴよにはそういうメッセージは余り伝わらず、一番ガツンと来たキモは「アメリカの介入」という部分でしたねぇ。
政府軍側にアメリカの軍隊が介入して来て、チャバ達の住む村にもやって来る。 子供達にガムをあげてからかったりして、相変わらず陽気でノータリンのヤンキー野郎どもだが(差別発言ですなぁ)、米軍はふんだんに武器を政府軍に提供して(もっと言うとちゃっかり売り付けてんだろ)内戦を煽っているワケですよ。 アメリカというのは世界有数の武器商人ですから(←コレも差別発言?苦笑)、世界の戦争・内戦に米国あり!逆に戦争をやってもらわないとオイシイ商売上がったりな国でしょ。
「世界の警察」を気取るアメリカが、実は戦争を煽って戦場にここぞと駆け付けて儲けるという縮図。 更に痛ましいのは、アメリカ介入でにっちもさっちも行かなくなった人々は、家族を助ける為に自国を滅茶苦茶にした張本人の米国に亡命して稼がなければいけないという悲劇。
戦争・内戦というのは、やっている国は確実に疲弊し、労働力が減り、国が貧しくなる。 そしてアメリカは武器を売り付けて儲け、安い労働力を貪り、弱体化した国家を掌握して、さも自分達が助けてやったんだという我が物顔でのさばり英雄を気取るのだ。 チャバ達に選択肢は多くない。政府軍の兵士として無駄死にするか、ゲリラの闘志として無駄死にするか、さもなくばアメリカに亡命してすがって生きて行くしかないか・・・
アメリカ大好き!米国万歳!という方、この感想は読まないで下さい・・・って、今頃書いてもなぁ(苦笑)
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